ビジネスを知らない若い人たちが「営業」という仕事に持つイメージは非常に悪いそうです。キャッチセールスとか、公園で車を止め寝ている「営業」の人たち、あるいは売上ノルマ達成に追われ、上司から怒鳴られるのが「営業」だと思っているのかもしれません。
一部には、そういうこともあるでしょうが、「営業」という仕事の実態からはかけ離れたイメージです。
営業という言葉は、とてもいい言葉だと思います。「業」、つまりビジネスを「営む」わけですから、ビジネスをマネジメントする、あるいは、ビジネスをコーディネートする仕事です。マーケティングそのものです。

マーケティングを学ぶと、「マーケティングはセリング(販売すること)でない」という言葉に出会いますが、何が違うかというと、販売は、「決められた商品やサービス」を売り込む仕事です。「売ること」が目的ですから、売ってしまえば、お客さまが満足しようが、不満を持とうが関係ありません。行き過ぎると、「売る」手段だけがどんどん巧妙になっていきます。売ることに成功した時点で仕事は終わり、お客さまとの関係は継続しません。
マーケティングや営業は、お客さまとの関係を築いていく仕事です。営業の仕事の中にも、当然、売り込むということはあります。しかし、「決められた商品やサービス」を売ることだけで終わらないのが営業です。お客さまの困っていらっしゃることを探り、問題解決に向かって、お客さまの困ってらっしゃることと自分自身ができること、またお客さまのニーズと自社の能力と結び付けていくという息の長い仕事です。さらに問題解決のために、会社に働きかけていくのも営業の仕事です。
多くの分野で、今、本当の「営業」の仕事が必要になってきています。ところが、まだまだ「営業会議」が「販売会議」となってしまい、結果と売上見込みの数字の把握に終わってしまっていることが多いようです。
「営業は数字だ」という考えもあります。確かに、営業にとって、数字は成果の尺度であり、活動のペースメーカーであり執着すべきだと思います。かといって、高度成長期のように、数字を追って、がむしゃらに売り込んでれば数字が達成できる時代でもありません。
しかも、売上数字だけを追いかけると、そこにはわなが待っています。値引き競争に巻き込まれ、気がつくと利益がどんどん下がってしまっているということも珍しくありません。
「営業」と「販売」が違うということを意識すると営業会議も変わってきます。どのような課題があり、どのように解決していくかという前向きで、創造的な会議になって行きます。

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