【WEDGE9月号より】
長野県に小型CCDカメラのアールエフという会社があります。胃カメラの次世代技術であるカプセル内視鏡の「NORIKA」で俄然注目を浴びています。調べてみると、お客さまの声を開発につなげてどんどん進化してきた、まるでマーケティングを絵に描いたような会社でした。
2005年には東証マザーズへの上場も予定しており、投資家のみなさんにとっても目が離せません。
胃カメラで検診を受けた経験のある人ならおわかりでしょうが、もう二度と嫌だと言う気持ちになるほど苦痛です。しかし、胃カメラの発達が早期ガンの発見につながっており、もっと苦痛を軽減し、簡単に検診できる次世代内視鏡に焦点が集まるのは当然のことです。カプセル型内視鏡は次世代技術として、韓国が国家プロジェクトを組むほど力を入れているそうですが、海外を含め従業員が230名の小さなベンチャー企業が先駆けて開発したというのは快挙です。すでに中国で臨床試験を行っており、アメ以下のFDAの認可を受けるのも時間の問題です。

創業時に世界最小の無線式CCDカメラを開発したアールエフは、お客さまの声を開発に活かしていくということを徹底しています。アメリカで、患者も治療中の状態を確認できる歯科向けの口腔内カメラが大ヒットし80%のシェアを持つそうですが、この開発も、鉄道模型に搭載するカメラを見たアメリカの歯科医の声から開発されたものでした。
営業・開発・生産がひとつのフロアで仕事をして、お客さまの声がすばやく反映できる体制がとられており、お客さまからの声をヒントに、どんどん技術を進化させてきたこことも注目したいところです。
カプセル内視鏡の難しさは、電池の液が人体に有害であり電池が使えないことです。電池を使わず作動させる技術が鍵になります。アールエフは、このバッテリーレスの技術を公開してしており、特許で囲い込むことをしていません。囲い込みをしないから、多くの研究者がアールエフにコンタクトしてくるそうです。

企業理念も非常にユニークです。
■金はなくとも開発は出来る。
研究成果は投じる金額の大きさではない、研究者一人ひとりの夢と情熱である。
■無借金経営
常に金が無いから危機感を持つ
今ある物を使いこなしていかざるを得ない。そこからアイディアが生まれる。
高額な測定器など欲しがってもすぐに買わない。
高額な測定器ほど使いこなせる技術者は少ない。周りにある物で測定器を作らせる。測定器を作らせると驚くほど技術力が上がる。
社長にはあまり金を与えない
金があると社長なんてやつは外に出てカッコつけたがるから。


このアールエフに、ひとつだけ懸念があるとすると、これまではニッチな分野でユニークな市場を拓いてきましたが、内視鏡の世界となると大きな企業との直接競合もあるということです。、内視鏡の市場は、日本が圧倒的に強く、しかもオリンパスが50%以上のシェアを占め、富士フイルムのグループ会社の富士写真光機が追うという構造になっています。いずれも高い技術力や資本力、営業力のある会社であり、なんらかの協業が生まれてくるのか、あるいは開発力で先行しつづけることができるのか。こんな点でも目が離せません。


【参考】地方に活路あり



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