読売新聞さんは、ずいぶん発行部数にこだわっていらっしゃるように感じます。そういえば、読売新聞小史を見ると、1991年に代11代社長として就任されて以来、1994年に「5月度ABC報告部数で、オール読売の発行部数が史上初めて1,000万部の大台を突破」さらに2001年には「1月度ABC報告部数で本紙が過去最高の1031万91部」と快進撃をなさってきたことがうかがえます。また『未来を拓く「総合メディア集団」』というタイトルの「主筆メッセージ」の冒頭でも、「不動の1000万部超の部数を維持」を掲げていらっしゃいますね。
また最新ABC月別販売部数のコーナーで2004年5月で10,084,006部とありますが、昨今の新聞発行部数減という逆風のなかで、1000万部超を維持されるのは、さぞかし大変なことだと察します。しかし発行部数へのこだわりは、「大きいことはいいことだ」という高度成長期の匂いをどうしても感じてしまいます。どうも渡辺会長の世代の方は「規模」がお好きなかたが多いようですね。
発行部数の過度な追求は、小さくなっていく新聞市場のパイの奪い合いでしかありません。そんななかで発行部数を誇示されると、どうしても私のような輩から、1リーグ制への移行はジャイアンツを利用して、さらに地方での発行部数を伸ばす意図があるという邪推をされてしまうのです。
お願いですが、社の目標を、発行部数という「規模」ではなく、新聞の「魅力」第一主義に切り替えていただきたいのです。お歳からいって、そういった発想の切り替えは過酷な要望かもしれませんが、忘れて頂きたくないことがあります。読者が期待するのは発行部数ではなくメディアとしての魅力だということです。

インターネットの高度な普及のなかで、「新しい新聞の役割」を果たして欲しいのです。渡辺会長は、新聞の「高度な普及」を標榜していらっしゃいますが、「普及」という言葉には違和感がありますね。貧しかった頃の日本を思い起こさせます。また共産主義思想の普及といった古い時代を感じさせます。読者よりは新聞社のほうが偉いんだというニュアンスもちょっぴり感じてしまいます。そういえば、「たかが選手」とおっしゃっていました。ほんとうは、そうは思っていらっしゃらないと信じますが、多くの人たちは、その言葉から「たかがファン」「たかが読者」という傲慢さを感じて「読売新聞不買運動」にまで騒動が広がったのだと思います。
渡辺会長が育ってこられた時代と異なって、いまや高度な情報は、別に読売新聞を購読しなくともいくらでも手に入ります。他の会社の新聞を購読していても、インターネットで読売新聞の「記事」も「社説」も「編集手帳」も「よみうり寸評」もすべて読むことができる時代です。そうなったのも、御社のインターネットへの取り組みがあったからというのも皮肉ですね。
さらに、主筆メッセージで「政・財・官界がリーダーシップを喪失してしまった混迷の今日では、多種多様な議論を整理し、日本が進むべき道筋を明確に示して行く責務も求められています」ともお書きになっていますが、それを間違って現場が解釈することもあるのです。1リーグ化の問題で「読売の立場」の正当性をわざわざ解説し、読者を「読売の立場」があたかも「進むべき道筋」を示すことだと錯覚した記事を掲載し、、メディアとしての品格を疑うことが平気で行われるのです。誰も、読売新聞に「日本が進むべき道筋」を示して欲しいと思いません。判断するのは読者です。確かに新聞は高い取材能力を持っています。しかし判断力という点で記者、あるいは論説委員のかたがたのすべてが優れていると思う人はあまりいらっしゃらないと思いますよ。

インターネットの普及の中で、新聞には新しい役割が求められていることはいうまでもありません。新聞が、このインターネット時代、ユビキタス社会のなかで、これまでにない「メディア・モデル」ともいうべきものを生み出せるかどうかに焦点が移ってきていると思います。大きく新聞を変革するチャンスが来ているのです。堀江社長のことを「私の知らない人だ」とおっしゃいましたが、それは情報不足、勉強不足だ、やはりもうこの情報化社会を真っ正面から考えようとしない過去の人だという誤解をうけてもしかたありません。
ごく一部ですが、その堀江社長の率いるライブドアは、ニュースにトラックバックできるという試みをなさっています。そいういった新しい発想を取り入れるためには、どっぷり古い新聞社体質に浸かってしまった人たちに任せていても無理かもしれません。たとえば、読売新聞とライブドアが提携して新しいメディア・モデルづくりをするといったご決断をなさると、きっと渡辺会長の「人としての大きさ」、「健全なメディアのあり方を真剣に考えていらしゃること」を、きっと多くの人が理解すると思います。さすが読売新聞だということになりファンを広げていくことになります。ぜひ読者にとっての「魅力第一主義」を読売グループ全社に「普及」させていただきたい。それが最後のお願いです。

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