米国で#MeToo運動が広がっていますが、日本よりはるかに女性の社会進出が進んだ米国ですらセクハラは対応が難しい問題であることを示しています。サンデー・ジャポンでのデーブ・スペクターさんの女性記者は名乗って告発すべきで、そのために女性が立ち上がろうというが#MeeTooだというのは説得力があります。
しかし日本ではセクハラがなにか、またどのようにセクハラに対応すればいいのか、いやなにがセクハラなのかへの理解ですらまだ社会に浸透していないようです。今回の福田次官のセクハラ疑惑問題で浮き彫りになってきたように感じます。

日本は女性の社会進出を阻む目に見えない文化や体質が根深く、テレビに流れる街頭インタビューなどを聞くと、問題意識の低さ、それはあきらかにアウトですよという意見も結構多く聞かれ、今回の福田次官のテレ朝女性記者へのセクハラ疑惑問題を、日本の社会の意識が変わっていくためのきっかけにしてほしいものです。

それにしても野党の攻め方のまずさというか、駆け引きのセンスのなさはアンビリーバブルです。麻生さんの辞職を求めて国会審議を拒絶したり、Mee Tooのカードを持って財務省に行くしょぼくれたパフォーマンスをやっていましたが、逆効果じゃないかという意見はでなかったのでしょうか。

麻生さんには居残っていただき、国会でしっかり答弁をしていただいたほうが、まだまだ国民の感情を逆なでするような失言が期待できます。

しかも、自民党の弱みは、実力以上の議席をとってしまったために、問題児の議員も混じってしまっています。またベテランのなかにもうっかり発言の常習議員もいます。そういった議員が内閣や自民党の足をひっぱる発言をします。しっかり国会での審議を追求し、質問のレベルをあげていけばいいのです。

国民を巻きこむような運動を起こす力がまったくないのですから、国会というリングにあがらなければ、しかも相手がオウンゴールしてくれる可能性を持ったリングでしっかり議論するほうが有利だと感じます。与党は審議拒否をすれば国民からの不信感がさらに深まりかねないので、国会を起点に、与党をも巻き込み、国民に共感を広げていくことが効果的だと思うのですが、そんな意見はでてきていないのでしょうか。

そして、やはりというかテレ朝のこの問題での対応がスッキリしません。今後の記者クラブでの付き合い、財務省に限らず、官僚とのお付き合いを考えてなのか、記者名も発表していません。

だから福田次官が、それを読んで、会話の全体を見ればセクハラではないと反論し、またネットのなかには女性記者が仕掛けたハニートラップ説まで飛び出すのです。
どのような状況のなかの言葉であっても、福田次官の声で間違いなさそうだし、というか、そこで展開されている会話の全体を公開すべきです。

もし、公開をためらう問題があるとすれば、第三者に聴いてもらうなり、書き起こして見てもらい、証言してもらうぐらいのことは出来ないのでしょうか。そうしなければテレ朝そのものが、セクハラに向き合っていません。

このセクハラ疑惑の問題は、女性の社会進出を阻み、先進国としての成熟した豊かな文化を生みだすことを阻害している女性差別の意識や体質を克服していくいい機会になるので、政治も、メディアも正面から取り組んでほしいところです。