いやはや驚きました。国内では国会がモリカケ問題で揺れ、さらに場外でも財務省トップの福田次官が事態の読み違いで強気にでたことが裏目にでて辞任に追い込まれたり、エリート中のエリートだったはずの米山新潟県知事が女性問題で退場となったりでした。
日本のなかに根深くある「エリート観」や「東大信仰」も、また官僚の採用試験のあり方も見直したほうがいいのではないかという出来事が続いています。一言でいえば、「お勉強」で鍛え、知識を競い合う単一種目で得た能力と、実際の社会で求められる能力とは異なるのです。

それよりもはるかに驚かされたのは、トランプ大統領の厚い信頼を得ているポンペイオCIA長官が極秘裏に訪朝し、しかも金正恩委員長と直に会談したことがワシントン・ポストで報じられたことです。

これは米朝トップ会談実現に向けた互いの真意が確認され、また具体的な話をすり合わせるトップレベルのパイプができたことを物語っています。金正恩が暗殺をも仕掛けかねないと恐れるCIAのトップは、逆に皮肉なことですが、金正恩にとってはもっとも信頼できる相手に違いないのです。

米朝トップ会談が今後のアジアの平和、あるいは力関係を大きく変えるかもしれないという期待がさらに高まったのではないでしょうか。

安倍総理との会談で、トランプ大統領が「朝鮮戦争が終わっていないことに人々は気付いていないが、この瞬間も継続中だ。その中で彼らは戦争を終わらせようと話し合っている。合意に達すればそのことに賛同するし、協議すること自体にも賛同する」と話したということも報じられています。

北朝鮮が大きく変わる可能性を感じさせます。もしかすると米朝間で平和条約を締結し、戦争を終結させて非核化の道をひらくかもしれないのです。そうなるとこれまで米国と対立し、アジアの安全保障の火種だった北朝鮮が、米国の影響力が強い国に変わります。そして、米国のアジアにおける防衛体制も大きく変わる可能性もでてきます。そうなれば日本の安全保障のあり方も変わってきます。

それより、中国の存在感や影響力が高まってきたなかで、中国に都合の良いルールが世界に広がることを防ぐためにも、北朝鮮の取り込みは効いてきます。

このブログで、もしかするとトランプ大統領の脳裏には、ノーベル平和賞受賞のもくろみがあるのかもしれないと書きましたが、米朝トップ会談で、どのように北朝鮮が変わるのかにアジアの焦点が移ってきたのではないでしょうか。