フランスに続いてイギリスも2040年までにディーゼル車とガソリン車の販売禁止を発表しました。
実に思い切った政策転換です。ドイツも、昨年、連邦参議院が2030年までに内燃エンジンを搭載した新車の販売禁止を求める決議を可決していますので同じ動きになってくるのではないでしょうか。EUから電気自動車化の本格的な流れが起こってきそうです。
ご存知のようにヨーロッパはガソリン車からディーゼル車へ移行してきました。そんなヨーロッパのフランスやイギリスで電気自動車化へのシフトを促そうとしているのは、ディーゼル車では燃費と排出ガス・クリーン化を両立させることに技術の限界があると判断してというか、いつまでもディーゼル車にかかわっていると、電気自動車化の流れに乗り遅れ、いろいろ発生してくるビジネスチャンスを失いかねないということでしょう。
こういったヨーロッパでの電動化へのシフトが、日本にとって吉とでるのか、凶とでるのかはわかりませんが気になるところです。
電動化シフトのメガトレンドが起こると、最初にもっとも警戒してくるのが産油国です。このメガトレンドをなんとしても阻止しなければ死活にかかわってきます。つまり、原油価格を上げるという選択肢はなさそうで、エネルギー資源を持たない日本にとってはプラス材料になってきます。
自動車産業がどう変化し、グローバル市場での勢力図にどう影響してくるのかも気になるところです。ただ、電動化はガソリン車よりも圧倒的に部品点数が減り、これまでの自動車産業が差別化してきた技術が生かせなくなるという議論が多いのですが、逆に、電動化はさらに自動運転化を促すので、自動車メーカーや制御部品のメーカーの勢力図が一挙に変わるとは考えにくいのではないでしょうか。むしろアップルやグーグルといった新しいプレイヤーと既存の勢力がどう手を組むのかのほうに興味は移ります。
米国は、最大の原油産出国で、ガソリン価格が安く、トランプ政権が電動化を促すとは考えられず、米国での電気自動車化は遅れそうです。国内市場がないと、産業も育ちません。テスラのように加速度を売るしかないのでしょう。ドイツ対日本の主導権争いの構図にあまり大きな変化はないように感じます。
ヨーロッパのディーゼル車トレンドのなかでは日本の自動車メーカーはEU市場では不利だったと思いますが、電動化の流れが加速してくると、EUでも日本車販売のチャンスは広がってくるかもしれません。日本はハイブリッド技術では先行しており、プラス要素になってきそうです。
それよりも電動化が早まるかどうかの鍵を握っているのは車載電池だと思っています。充電スタンドなどのインフラは電気自動車の普及が進めば自ずと増えてきますが、電気自動車普及のボトルネックは、価格が高いこと、一回の充電で走行できる距離が短いこと、充電時間が長いことでしょうが、いずれもが車載電池の問題です。
電池の技術に大きなイノベーションが起こらなければ、差別化できるのは安全性だけになります。サムスンのスマホが発火するトラブルもありましたし、テスラ車も2013年さらに昨年も炎上する事故を起こしていますが、価格競争が起こると中国製の電池が台頭してくるかもしれません。
それよりは、車載用電池では電池技術で大きなイノベーションが起こせるのかどうかの国際競争が始まってくるのではないでしょうか。確保できる走行距離が500KMを超え、さらに軽量化し、電池価格が40万円を切ることがひとつの指標になってきます。
おそらく、それを可能にするのは、電池そのものの技術ではなく材料技術のような気がします。材料で大きなイノベーションが実現できるかどうかになってくるので、もしかすると、日本の材料分野での強さが発揮できるのかもしれません。いやドイツも強そうですが、これまで日本が大学に研究費をばら撒いた成果がでてくれば面白いのかもしれません。
デジタル化の時代の波を受け、多くの分野のグローバル市場を失った日本ですが、電池の市場でも、PCやスマホ用の小型電池で、日本は2008年には60%のシェアを誇っていたのですが、2015年には約30%にまでシェアが半減してし
まいました。その轍を踏んではならなりませんが、この自動車の電動化の流れのなかで、焦点になってくる電池技術、材料技術で先頭を切り、市場をリードできるかどうかに関心が集まってきそうです。
まいました。その轍を踏んではならなりませんが、この自動車の電動化の流れのなかで、焦点になってくる電池技術、材料技術で先頭を切り、市場をリードできるかどうかに関心が集まってきそうです。
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