電気自動車のLucid Air、高速性能テストで時速378 kmを記録したそうです。テスラのモデルSの加速力は飛行機の離陸速度以上という動画もあります。しかし、電気自動車がいかに速く走れたとしても、電気自動車の普及はなかなかスピードアップしません。
フランスのマクロン新政権が2040年までにガソリン車・ディーゼル車の販売を禁止すると発表し、中国政府も普通のハイブリッド車をエコカーとは認めず、助成措置を止め、対象をEV、燃料電池車、PHVなどのエコカー普及を国策としています。これらの動きが電気自動車時代を加速させるのでしょうか。

しかし、中国のように、またボルボのように、ガソリン車ではドイツ車や日本車とは勝負ができず、またハイブリッド車の技術もなく、将来は電気自動車に託そうというのは理解できるとしても、実際は、補助金頼みでしか売れないのが電気自動車の現実です。

それを象徴する出来事をウォールストリートジャーナルが伝えています。中国でもっともテスラが売れ、電気自動車の9割のシェアを占めていた香港で、突然、免税対象に販売価格の上限を設けると発表され、テスラが外されたのです。
中国製電気自動車を伸ばそうとする国策ではないでしょうか。デンマークで補助金の段階的廃止によって、テスラの販売台数が大きく落ち込んだことを考えると、テスラにとっては厳しい逆風となることは間違いないでしょう。

電気自動車の普及のためには、充電スタンドの普及と充電時間の短縮、走行距離と価格が鍵を握っていますが、充電スタンド以外の要素は、電池の性能/価格の飛躍的な向上にかかっているということでしょう。確かに電気自動車で使われるリチウムイオン電池のセルあたりの価格は長期的に見れば下がってきていますが、まだまだ飛躍的なイノベーションが求められているのではないでしょうか。しかし、リチウムイオン電池は半導体のようなスピードで性能/価格が向上するというわけにはいきません。
 

ところで古賀茂明さんが「安倍政権の戦略ミスで電気自動車は世界最後」と憂いておられますが、電気自動車の進化や普及に、現在以上の政策が必要なのかは疑問です。自動車市場と電気自動車産業を支えているプレイヤーに任せればいいのじゃないでしょうか。古賀さんは、まだ経産省になにかできる、つまり国策でなにかができるという幻想を持っていらっしゃるのでしょう。
国策として介入する必要があるとすれば、必要性があるけれど市場化できない分野、たとえば、核攻撃を無力化する次世代ミサイル迎撃システムのようなものに限られそうです。


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