どちらかということではなく、どちらを重視して考えたほうがいいかの話です。観光と言えば、学芸員は、観光マインドがなく「がん」だと筋違いというか勘違いの発言をした大臣がいましたが、まずは大臣の質の劣化のほうが心配です。さて、中国人観光客の怒涛の爆買いによる神風も一息つき、また海外からの訪日旅行者数の伸びも鈍化しはじめています。
2012年から始まった訪日旅行者数の伸びは、2015年の対前年47.1%増をピークに、昨年は21.8%増となり、今年にはいって、さすがに1月は24%増でしたが、2月7.6%増、3月9.8%増と一桁台に落ち着いてきました。

ところでこれまで海外旅行者数の急増で、インバウンド市場が注目されるようになりましたが、国内旅行市場と、どちらのほうが規模が大きいと思われますか。

旅行者数ですが、海外からの旅行者は、昨年が2400万人でした。一方の国内旅行者数は、観光庁の調査によると、日本人の2015年の国内延べ旅行者数は、6億0,472万人(前年比1.6%増)でした。宿泊旅行が3億1,299万人(前年比5.3%増)で、日帰り旅行が2億9,173万人(前年比2.1%減)とだそうです。


人数で規模が違います。日本人国内旅行消費額は20兆4,090億円で前年比10.8%増ということで、直接比較できないものの、インバウンド消費は2015年には、1.5兆円規模となり、百貨店や家電量販が特需に湧きましたが、2016年には1.3兆円に落ちています。

つまり、外国人観光客の増加は、それが刺激となって、観光市場の押上効果や、また観光を切り口とした地方の活性化の促進剤となったとはいえ、本命はやはり国内旅行需要のほうです。
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かつては暴動もあった大阪あいりん地区に隣接する新今宮に星野リゾートが進出することが話題になっていますが、ターゲットはやはり国内の旅行者だそうです。関空からのアクセス、大阪市内へのアクセスを考えると立地としてはいいのではないでしょうか。

結構、日帰り旅行や小旅行の機会が多い方だと思いますが、昨今、感じるのは、地方で自力で観光価値をあげ、観光需要を取り込むためのチャレンジがおこってきていることです。また観光立国としての価値は、外国人観光客にも配慮しつつ、しかし国内の旅行者が実感できる「価値づくり」を考えないと、「本物の体験」は生み出せず、結局は外国人観光客にも飽きられてしまうことになりかねません。