民進党の政府批判がブーメランとして返ってきて自ら墓穴を掘るという展開が相場でしたが、森友学園問題に関してはどうも自民党の思惑違いとなって疑問をさらに深める結果になってしまったようです。
そもそも、森友学園問題で、民進党などが求める参考人招致を拒否してきた自民党がなぜ国会証人喚問に踏み切ったのかはいまだによくわかりません。ヤメ検の郷原弁護士が、「昭恵夫人から100万円の寄付を受けた」という証言を撤回させるか、証言を覆さなければ偽証罪での告発によって籠池氏の証言が嘘であることを司法判断で明らかにしようという意図としても、それは「危険な賭け」だと指摘されていましたが、そのとおりになりそうです。

自民党は、決着を焦り、籠池さんがあっさり白旗を振るとタカをくくってたのかもしれませんが、偽証罪も問われかねないなかでの発言は、逆に重みを与えてしまう結果になってしまいました。

ところで、みなさまは政治家の口利きに関してはどのようなイメージをお持ちですか。なんらかの便宜をはかるように省庁の役人の人に圧力を加えることかと思っていらっしゃるのかもしれません。

そうではないのです。その案件がどういう状態になっているのかを政治家が省庁に問い合わせるだけです。影響力のある政治家なら、審査が滞り、遅れに遅れた認可も、電話一本問い合わせてもらうだけで「神風」が吹いたように迅速に進むのです。

籠池さんが国会証言後に提示した、差し出し人が昭恵夫人付きの谷査恵子氏のFAX内容は、もちろん法的になんら問題があるわけではないにしても、財務省に影響を与えるものになりえるというのが実際のところでしょう。
菅長官が、「忖度以前のゼロ回答だ」と否定されても、「忖度」の引き金となった可能性は拭いきれず、また昭恵夫人がまったく関係していないという総理発言とは食い違っています。

もちろん、さらに疑惑が深まり、たちまち安倍内閣が揺らぐというものではないと思いますが、引くに引けない事態を招いてしまった感が拭えません。強引に幕引きを図ろうとすれば、政権、また自民党への不信感が深まってしまいます。

そして面白いことに、朝日新聞だけでなく、産経新聞も、100万円の寄付をめぐっては、籠池氏と昭恵夫人で「主張が百八十度対立している以上、予算委員会として夫人に直接、事実関係を確認する作業も必要となろう」としているところが注目されます。

野党は籠池笑劇場が長引けば長引くほど内閣支持率にも影響してくるので、無理をする必要はなく、立場としては有利になってきます。自民党は7月の都議会選を意識し早期決着をはかりたかったのかもしれませんが、この吉本新喜劇以上に注目を集めた籠池笑劇場をめぐる政局は長引いてしまいそうです。

そして籠池笑劇場から野党が学ぶべきは、政局化を求めず、国民の側に立って真実と国民の利益を追求していけば、広がってしまった野党への不信感の払拭することにもつながってくる、それがかえって与党のオウンゴールをも生むことがあるということではないでしょうか。


SFAによる顧客管理ならアクションコックピット
モバイルの活用が広がる営業支援システム アクションコックピット