NHKが今月の7日から3日に18歳以上を対象に行った世論調査結果を発表していました。安倍内閣を支持するとした人が先月よりも5ポイント上がって55%、支持しないと答えた人は、3ポイント下がって29%で、昨年の4月に安保法制問題で支持と不支持が拮抗した以降は、支持率が高止まり状態になってきています。
この安倍内閣の支持率に関しては、この現実を理解できない、いやおそらく理解したくない人たちも当然いらっしゃいます。なかでも、安倍内閣の強さに関して、内田樹という学者の方が、ほんとうに面白い分析をしています。少し前に書かれたブログですが、あまりにも飛躍したというか、突飛な発想なので記憶に残っています。
安倍内閣が高い支持率を得て勝ち続けるのは、総理大臣の適格性を最終的に判断しているのは「自分たちではない」と国民が思っているからだそうなのです。日本の総理大臣を決めるのはアメリカだとわかっているから、「トップをすげ代えろ」という声が上がらないのだとか。
国益が損なわれ、国民が日々損害を被っているにもかかわらず、「トップをすげ代えろ」という声が上がらないのは、総理大臣の適格性を最終的に判断しているのは「自分たちではない」と国民が思っているからである。残念ながら、日本において、統治者の適格性を判断しているのは有権者ではない。私たちは自分たちの選挙区から議員を選ぶことはできる。でも、統治者を選ぶことはできない。日本の指導者を最終的に決めるのはアメリカである。
いやはや奇想天外な発想です。
実際には内閣支持率が政権の寿命に影響しています。支持率が10%を切った森内閣や竹下内閣は短命でした。実際支持率が20%を切ると内閣はもたないというメカニズムが働いてきた歴史があります。
逆に、戦後の歴代内閣で最高支持率を得たのは小泉内閣の85%でしたが、それに続いているのが鳩山内閣の72%、さらに細川内閣が71%でした。民主党の菅内閣、野田内閣も高支持率でベスト10入りをしています。
つまり国民の期待の高さが支持率に影響することを物語っていますが、その期待に応えなければ、支持率は急降下し政権維持が困難になることを示しています。第一次安倍内閣、福田内閣、麻生内閣、鳩山内閣、菅内閣、野田内閣と支持率が急降下しいずれも短命に終わっています。
確かに日本がアメリカの影響を強く受けるとしても、まさか世論調査に介入して数字をつくるということはありえません。歴代内閣の支持率の推移を見れば、国民は「トップをすげ代えろ」という声を上げ、内閣の寿命を決めてきたのです。
なぜ内田樹氏のを持ち出したかというと、はじめから持っている思想や価値観に現実をあてはめて解釈しようとすると説明がつかない、それでも自らの思想や価値観を疑わない、しがみつく誘惑に勝てないから、カルト的な結論に迷い込むといういい例だと思ったからです。
これまで体験したことのない新しい現実に向き合っている私達が、古い思想や価値観を無理やり当てはめて現実を見ようとすると無理がでてくるのが現代です。
安倍内閣の支持率が高い理由は、「他の内閣より良さそうだから」が39%でトップです。素直に解釈すれば、第一次安倍内閣も含めて、この何代かの内閣との比較で、また民進党が迷走した結果、信頼を失って選択肢に入らないこと、また与党のなかにも期待できる他のリーダーが思いつかないからでしょう。
考えなければならないのは、ついこの前まで民主党支持だった人も、安倍内閣を支持しているから、支持率が高いことです。安倍内閣を見ていると、保守というよりは、現実主義だという色彩を強く感じます。
実際には、保守も革新もとっくに破綻しています。そのいずれもが理想主義で、現実から課題を発見し、その解決をはかるというよりが、現実を自らの理想に近づけようという点が共通しています。
まずは革新が終わりました。革新がなければ保守も存在意義を失ったのです。現代は、過去の思想を当てはめて通用する時代ではありません。面白いのは右も左も体質が似ていることです。いわゆるサヨクも、ウヨクも論争で勝つことが好きです。知恵を競うのではなく、まるで子供のように知識で勝負するのです。もうそんな理想主義の枠組では現実の複雑な課題を克服できる時代ではありません。
今では、働く人たちのベアを求めているのは、労働組合だけではなく、保守右翼とレッテルを張られている安倍内閣です。それをどう解釈のするのかでしょうか。働き方革命に熱心なのも安倍内閣です。きわめてリベラルな政策です。
確かに、アベノミクスは終わってしまいました。円安、株高が起こって、アベノミスクが成功したと思っている人もういらっしゃるかもしれませんが、少なくともデフレは克服できなかったし、日銀も手詰まりで、成長戦略もまだ前途多難です。
しかし国民はきっとわかっているのでしょう。しかし、それに変わるビジョンを持った政党やリーダーがいないのです。それなら安定政権であること、難しい局面での外交に精力的なことのほうが評価できます。
安倍内閣は、保守や革新というもう手垢にまみれた理想主義ではなく、現実主義の立場に立っている。だから支持されると感じるのですが、みなさまはどうお考えになりますか。
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