松井大阪府知事が、カジノを含む統合型リゾート施設(IR)整備推進法案をめぐる民進党の対応を「バカな政党」などと批判しましたがほんとうにそうかもしれません。あるいは、カジノができれば不利益になりかねない特定の利権団体から資金を受けているのかと疑ってしまいます。
さて、マスコミにでてくるコメンテーターも、ギャンブル依存症の増加が懸念されるからカジノはダメだという方が目立ちます。しかし、それはミスリードもはなはだしいのです。まずはっきりさえておかないといけないのは、日本は世界ではありえないほど突出したギャンブル大国だということです。

日本はカジノがないのにと疑問に感じるかもしれませんが、原因はパチンコ・パチスロです。ギャンブルとしては規模が突出しているのです。

パチンコ・パチスロ産業は右肩下がりにあるとはいえ、日本生産性本部の2015年レジャー白書によれば、2015年のパチンコ・パチスロの市場規模は23兆2,290億円で、1,070万人の参加人口です。

世界のカジノの売上が全体で1700億米ドル(約18兆円)といわれているので、世界中のカジノが束になってかかっても日本のパチンコ・パチスロにはかないません。

なかには、パチンコは、路地裏で換金しているからいいけれど、カジノは賭博を日の当たるところに持ち出そうとしているからだめだというわけのわからないことを言っている人もいますが、日本のインテリの典型的な議論でしょうね。

世界中のカジノよりも大きな産業がある日本で、ギャンブル依存症が突出して多いのはいうまでもありません。厚生労働省の調査では、日本には「ギャンブル依存症」の疑いがある人がおよそ536万人と推計されていますが、人口比が世界のなかでも突出しています。

マスコミでも、ギャンブル依存症の人が多いから、カジノができれば、さらに依存症の人が増える危険性があり、カジノは認めるべきでないというストーリーが多いのですが、変だと思いませんか。

それなら、カジノだけでなく、同時にパチンコ・パチスロ規制を主張するべきです。もう日本からギャンブルをなくそうと提案し、ギャンブル撲滅運動を起こすのが筋です。

しかしパチンコ産業は、広告主だからか、マスコミもそこは突きません。コメンテーターのひとたちも、自分たちがパチンコ・パチスロ業界のロビイストだと疑われることに気がついていないのでしょうか。

パチンコ・パチスロは敷居が低いギャンブルです。最初は、使う金額も少なくすますこともできます。カジノならわざわざ遠方まででかけないといけませんが、日本はほんとうに身近な場所でパチンコやパチスロを楽しめます。駐車場も完備しています。世界中を見回しても、これほど身近な最寄りに賭博場がある国はありません。少なくとも先進国ではありえない話です。敷居が低い。それが依存症の人たちを増やす罠なのです。

日本は自殺率が高い国ですが、自殺原因の第1位は健康問題で、それに続いて第2位が経済・生活問題借金苦。そしてギャンブルによる借金が多いといわれています。

パチンコやパチスロでつくった借金を苦に自殺した、主婦売春が横行している、負け続ける主婦を狙った街金融業者もあるという噂も絶えません。駐車場の車のなかに子供を放置して死亡させるといった悲しい事件も何度も起こっています。

カジノでギャンブル依存症が増えそうだと言うのなら、臭いものに蓋をする、建前でキレイゴトをならべるのではなく、パチンコ・パチスロの負の実態も調査し、根本的な対策を考えるべきなのです。

そんな議論をリードするのではなく、カジノを含む統合型リゾート施設(IR)整備推進法案の国会審議時間が少ない、与党の横暴だという民進党が「バカな政党」といわれてもしかたないことです。

パチンコ・パチスロが問題にならないのは、やはり政治家も警察も、またマスコミも業界とズブズブの関係でつながっているからじゃやないかと疑いたくもなりますね。