ギャラクシーノート7の販売中止によってサムスンは、直接的な損失だけで少なくとも3兆ウォン(約2800億円)に上ると韓国紙が報じていますが、損失はそれだけにとどまりません。サムスンブランドのイメージダウンの影響は避けられず、さらに発火や爆発の原因が設計ミスであった可能性が否定できない状態では、原因を特定し対策を公表しないかぎり、次の製品を出せないのではないでしょうか。4か月後の発売と噂されるGalaxy S8にも影響が及びそうです。
ムスンの対応の悪さが傷口を広げる結果となり、サムスンというブランドそのものへも信頼が揺らいでいると考えられます。
リコール後のGalaxy Note 7 米の13歳少女の手の中で溶け出す - ライブドアニュース :
こういう記事がでてしまうと、いくら理屈で説明しても不信感は消えなくなってしまいます。
ウォルストリートジャーナルもこう指摘しています。
サムスンはCPSCやその法的権限にのっとらずにリコールに踏み切り、米消費者情報誌コンシューマー・リポートから批判された。さらに批判を呼んだのが、全世界の顧客を対象に現金の払い戻しに応じることをせず、一部ではノート7sとの交換しか受け付けなかったことだ。
サムスンのこうしたお粗末な対応に加え、航空機で客室乗務員が毎回ノート7について警告する事態に至ったことで、サムスンのブランドにはこのノート7だけにとどまらない広い影響が及んでいる。われわれは過去2年、サムスンのスマホを強く推奨し、アップルと比較した機能の素晴らしをしばしば指摘してきた。しかし今やサムスン製品を長年愛用してきた人たちまでもが背を向け始めている。
まさにサムスンのオウンゴールという感じですが、ライバル各社は迫ってきている年末商戦で、予期せぬボーナスを得ることになりそうです。
ロイターの記事のように同じアンドロイド端末のメーカーが有利な位置にあるという見方もありますが、それほど同じOSに強いこだわりを持つユーザーがどれくらいいるのかは疑問です。もちろん勢いのある中国メーカーはさらに攻勢をかけ、サムスンのシェアを奪うことは間違いないでしょうが。
アングル:サムスン「ノート7」販売停止、アンドロイド端末メーカーに好機 :
サムスンとアップルの訴訟の歴史が物語るように、この両者も技術の優位性で激しく競い合っているので、販売台数が落ちてきたアップルにも恩恵があるのでしょう。またiPhone7がまだ鮮度を保っていると思われるので、アップルにとっては幸運なiPhone発売10周年になりそうです。
OSという切り口でなく、最先端のスマートフォンという見方をすれば、もちろんAIを搭載したグーグルのPixelにも有利かもしれないとしても販売力で見劣りがするので、iPhone7にユーザーが流れるという見方ができます。シェアの力学から見てもアップルにも有利な状況です。
Forbesはアップルに有利だとする記事を載せています。
グーグルやファーウェイ等のメーカーも、Noteユーザーの争奪戦に参加するだろうが、アナリストらはアップルが年内に800万台の売上を増加させると予測する。
Galaxy Note 7の失敗でサムスン電子失速 Appleにチャンスか - ライブドアニュース :
長期的にこの流れが続くかどうかはわかりませんが、アップルに勢いがでてくれば、アップルからの発注が停滞し、経営が厳しくなってきたサプライヤーにも恩恵がでてくる可能性があります。資金繰りが怪しくなってきているジャパンディスプレイも、アップルと中国メーカーからの受注が増え、増産体制にはいっていると日刊工業新聞が伝えています。
ジャパンディスプレイがスマホ向け液晶増産。危機はしのげるか :
アップルからの受注減の影響で、いろいろ約束を破ってきている鴻海にとっても、シャープにとっても恵みとなってくるのでしょう。
しかしサムスンはどのような対策を講じてくるのでしょうか。消費者だけでなく、通信キャリアからの信頼も傷ついたはずで、自らの販売店舗をほとんど持たないサムスンにとってはダメージとして響いてきます。取引条件も厳しくなってくるのではないでしょうか。
いずれにしてもサムスンが招いた今回のトラブルは、かなり経営や組織の体質によるところが大きかったと感じるので、その改革は一朝一夕にできることではなく、スマートフォン市場の地図が塗り替わる潮目になってきそうです。
スマホ爆発:サムスン内部から批判噴出「起こるべくして起きた」- 朝鮮日報 :
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