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三菱グループで相次いで問題が発生しています。三菱航空機開発の国産初の小型ジェット旅客機MRJが、不手際やトラブルが相次ぎ、納品が遅れてきています。また三菱重工が受注した豪華客船の建造で3度の火災を起こしたり、1千億円とされる受注額を大きく上回るおよそ2,300億円の赤字を出したというのです。そして、三菱自動車で軽自動車以外にも、アウトランダーを除く全車種で燃費に関する不正が発覚しました。三菱自動車の場合は、計測方法の不正で、上層部を含んだ組織ぐるみで行った意図的なものという疑いが濃いと感じます。

いずれにしても三菱重工、子会社三菱航空機、三菱自動車のよくない出来事が続いています。
MRJに関して

米納入MRJが重量オーバー 解約回避へ軽量化着手 - 産経ニュース:

MRJ:仕切り直しも失敗 再び名古屋に引き返す - 毎日新聞 : 


客船に関して

三菱重工、豪華客船で払った高すぎる授業料 | 週刊東洋経済(ビジネス) | 東洋経済オンライン: 

三菱重工の客船建造、岐路に 客室デジタル化遅れ大赤字:朝日新聞デジタル :

自動車に関して

三菱自動車の燃費不正 軽自動車4車種以外の8車種でもカタログ値割れ - ライブドアニュース : 


三菱自動車にいたっては、2000年にリコール隠しが発覚したにもかかわらず、2002年に池井戸潤の経済小説『空飛ぶタイヤ』のタイトルになった横浜母子3人の死傷事故、山口でのトラック運転者の死亡事故が起こり、2004年に再度のリコール隠しが発覚しています。さらに燃費偽装です。

懲りないというか、企業の存続すら脅かす病巣が組織にあるというのに、どうして負の体質を変えることができなかったのでしょうか。普通の企業の経営者なら想像もつかない話だと思います。

燃費不正問題、開発本部だけでなく経営陣含む全社の問題=三菱自特別調査委 - ロイターニュース-

三菱自動車、燃費不正は「会社ぐるみ」 - 日経テクノロジーオンライン : 


人、金の両面で力不足、グループからの支援も断たれ、もはや自力で立て直すことは不可能。日産が10月に約2374億円を投じて三菱自動車株の34%を取得し、三菱自動車は事実上日産の傘下に入ることになっています。しかし、今回の問題発覚が提携にどう影響するのでしょうか。


三菱重工も、なにか経営の空洞化や組織的な欠陥を感じさせます。客船の建造に関しても、ネット環境の構築が遅れ、大幅に工期が遅れたというあたりは、もう調達や調整力の欠如を感じさせます。MRJに関しても、開発の全体を仕切っている人がおらず、ムダな会議ばかりやっているのじゃないかと疑ってしまいます。


週刊ダイヤモンドで「三菱最強伝説」と書かれたように、グループ全体の売上高は日本のGDPの1割を超える58兆円で、世界1の企業グループですが、そのグループ経営にも綻びがではじめているということでしょうか。時代の節目を感じます。グループの総合力、グループ経営がもたらす相乗効果が、むしろグループ各企業の時代変化への適応力を失わせてきたのでしょう。


そして、とくにグループで同じスリー・ダイヤを掲げている限り、「三菱、大丈夫か」という疑いがどうしても生じるでしょうし、負のイメージがグループ全体に波及します。


三菱グループの各企業が創業140年余りの信用を象徴していたスリー・ダイヤも、綻び、曇って、輝きを失ってきているのも、熟れた果実が落ちるように、歴史のなせる必然なのかもしれません。


ついでの話で恐縮ですが、ほとんど同じスリー・ダイヤを使っている三菱鉛筆は三菱グループとはまったく関係のない企業です。見れば、3期連続の増収は立派なものです。ペーパレス時代の到来は、三菱鉛筆にとって逆風ですが、筆記具に集中する逆張りの戦略をとり開発力を強化。ヒット商品を飛ばしてきたことが好調を支えています。同じスリー・ダイヤでも違うものですね。
 

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