小池百合子新知事の力量が試されるのが、築地市場の豊洲への移転問題をどう捌くのかになってきました。しかし、よくわからないのも築地市場の豊洲への移転問題。
現在の築地市場の施設の老朽化とアスベスト問題があり、移転は避けられないにしても、豊洲新市場への移転には反対の声もあがっています。
土壌汚染が問題で移転を見送るべきなのか、使い勝手で致命的な欠陥があり、移転すれば市場として機能しない恐れがあるから移転すべきでないのか、もっと瑣末な問題も交じり合って、なにが焦点なのかがよくわからないままに議論されているように感じます。
やまもといちろうさんが、早々に移転すべきとYahoo!Newsに投稿されておられていますが、反対を主導している業者の多くは債務超過に陥っており、移転費用がだせないこともあるようです。反対しする人にも、いろいろ事情があるということでしょう。
「ベンゼンが出る」「間仕切りがあって狭い」などと難癖をつけて、築地市場の水産仲卸業者が築地新市場への移転延期を求め、いまだ築82年のアスベストつき建屋で操業を継続する理由は、仲卸業者の大多数が債務超過だからです。移転反対派は現在すでに経営の苦しい台所事情に触れませんが、人気スポットであった築地市場に依存して駄目な経営をしてきた仲卸業者がそれだけあるってことです。
築地市場は早々に移転するべき(山本一郎) - 個人 - Yahoo!ニュース :
さて、土壌汚染については、土壌がいかに汚染されていたとしても、都が行った対策は公開されており、どこに問題があるのかの合理的な指摘がないかぎり、すでに「対策は打たれている」と考えるのが筋ではないでしょうか。
豊洲新市場予定地の土壌汚染はどうするの?|東京都中央卸売市場 :
ただ、残るのは豊洲新市場が機能的欠陥を抱えていて、まともに機能しないのかどうかの疑問です。
理屈では事業主体が異なるので、別問題ですが、東京オリンピックのシンボルデザインにしても、新国立競技場にしても、コンペが不透明で、またずさんなもので、いずれもがやり直しになった割には責任が曖昧なままで終わり、不信感が根深いことです。
そこに東京都議会のドンがかかわる疑惑が報じられたのでよけいに不信感を助長しているのではないでしょうか。豊洲新市場も、オリンピックのコンペに疑惑があったように、なにか不適切な問題が起こっていないかは気になりはしますが、そうであっても移転するかどうかそのものとは直接関係する問題ではありません。それはそれで問題を分けて追求すればいいことです。
豊洲新市場の機能に関して指摘している記事では、週刊ダイヤモンドのものがよくまとまっているように感じます。非常に拙劣な計画で、そうなった原因は「都が、市場関係者のニーズをくまずに豊洲移転を計画し、細部の詰めは設計を請け負った日建設計に丸投げしたから」としていますが、問題は、動線計画に致命的な欠陥があるということと、水産仲卸売場の床の強度が不足し、現在設定されている重量制限ではフォークリフトなどが使えないというものです。
豊洲新市場、移転延期でも解決できない根本的欠陥|ダイヤモンド・オンライン :
これらの問題は、実際に移転をする市場関係者や建築構造の専門家などに聞けば、この記事の通りかどうかの判断材料は得られるはずです。どしても仕組みを変えようとすると、いろいろ抵抗があるということもあるのかもしれません。
いずれにしてもマスコミが面白おかしく取り上げ、また無責任に問題をこじらせてきたようで、おときた駿都議が「都の主張が批判されるのと同様に、反対派の主張もしっかりと批判的に検証されなければなりません」とおっしゃっているのはその通りだと思います。
それに都議会は自民、公明、民進も移転に賛成してきたわけで「逃げたらあかんぜよ」です。
築地市場の豊洲移転に賛成した都議会議員たちは、今こそもっと情報発信をして責任を果たすべき :
問題を整理していけば、なんらかの結論がでるとは思いますが、築地市場で利権を持っていて、それを失う窮地の業者の人たちからは不満がでるのはしかたないにしても、東京都民が納得するかどうかのほうが重要なので、小池新知事の問題解決力に期待します。
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