これまで店舗数の増加、さまざまなサービスの取り込み、また小売業や飲食市場といった周辺需要を飲み込んで成長してきたコンビニ業界も、まだかろうじて売上は伸ばしているものの、既存店の売上高は頭打ちになって久しく、いまでは飽和状態に向かってきています。


飽和してくると、とうぜん業界内でのシェア争いが始まります。ライバルの店舗の近くに出店し、ライバル店を叩きつぶす、その攻勢を激しくかけてきているのがセブン−イレブンです。いまでも一日あたりの売上高つまり日販で差がありますが、それは競争力で優位にあることを物語っています。

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ではそのセブン−イレブンに死角はないかというと、日販が競争力を示すバロメータとすれば、その日販が頭打ちになってきているのです。そこで、セブン−イレブンは頭打ちになりはじめた日販を再度伸ばそうと、全国約1万9000店のコンビニエンスストアと本部を結ぶ情報システムを10年ぶりに刷新するようです。

セブン、欠品ゼロへ 10年ぶり新システム  :日本経済新聞 : 


セブン−イレブンの日販がライバルに差をつけている最大の要因が情報システムであり、また地域ドミナント戦略に代表される出店の巧みさだと思いますが、その本丸の情報システムをバージョンアップしようというのです。


これがどの程度の改善、また効果につながるのかは注目しておきたいところです。


店舗を増やせば全体の売上はアップします。しかし関西でみられるように、強引に出店数を伸ばせば、誰が見てもライバルとの競争だけでなく、セブン−イレブンのお店とお店で競合が始まり、1店1店の売上に限界がくるか、下手をすれば減ってしまいます。実際、店舗数を伸ばす戦略に出て以降、セブン−イレブンの日販は頭打ち状態になってきています。
 

セブン日販推移

もうそれぞれの店の売上を伸ばせる新商品や新サービスはなかなかでてこない、そんななかで、さらに売上を伸ばそうとすると、欠品をなくすということに発想が落ち着くのでしょう。それで効果がでればますますライバルとの差が開くかもしれません。


しかし、その発想そのものにコンビニという業態の成熟を感じます。さらに成長しようとすれば、本来なら、新市場というか新しい分野を加えた業態改革が必要になってきますが、もうアイデアもない、またあまりに標準化を進めすぎたために、そういったダイナミックな変革を生むハードルを押し上げてしまったのかもしれません。


ライバルとの競争に走り、店舗を増やし、それが日販を押し下げる悪循環を情報システムによる効率化で克服できるかどうかというと、かなり無理がありそうな気がしますがどうでしょうか。


普通に考えれば、セブン&アイは、コンビニ以外の事業は総崩れなので、コンビニにつぐ事業の柱づくりを追求するのが筋です。そうなると小売業界も新業態づくりの競争となり、外野席から見るのも面白くなってきそうです。互いに潰し合うバトルではなく、新しい仕組みや技を競い合うレースが生まれることに期待したいところです。

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