今やセブン&ホールディングスの売上の7割を占めるセブン-イレブンを育ててきたカリスマ経営者の鈴木会長がすべての職を去る意向で、その旨の記者会見が昨日行われました。発端は、セブン-イレブンの人事で、井坂社長から8歳年上の古屋副社長を社長へ交代する鈴木会長の人事案が取締役会で否決されたことからです。まるでクーデターさながらの出来事です。
なにがあったのかは想像するしかないのですが、かなり無理な人事案でした。鈴木会長は、セブン-イレブンの経営は、井坂社長ではなく実質的に自分がやってきた、井坂社長からはなんの新しい提案もなく、リーダーとしては物足りない、だから任期が終わるのを契機に社長を退いてもらうということで示された人事案でした。
しかし、株主、加盟店のオーナー、また外野席から見れば、井坂社長就任が2009年で、その翌年から、セブン-イレブンは再びアクセルを踏み込んだように店舗数、また売上やシェアを急進させます。2015年2月期のセブン-イレブンの決算報告資料によれば、2005年度から2009年度の5年間では、業界シェアが1.9%が伸びたにとどまっていましたが、井坂社長体制になった2010年度から2014年度には5.6%伸び、業界シェアが41.6%のセブン-イレブン一人勝ち状況になっています。もし、仮に、実質それを牽引してきたのは井坂社長ではなく、鈴木会長だったとしても、かなり説明が苦しいように感じます。
記者会見の中味と、その背景にあると思われるお家騒動について、はやくも日経ビジネスが記事にしていますが、セブン&アイホールディングスの二人の創業者、イトーヨーカドー創業者で、セブン&アイの10%近くの株を持つ伊藤雅俊現名誉会長と鈴木会長の間の長年の信頼関係がこの人事案で崩れ、鈴木会長の人事案を承認しなかったことが決定打になったようです。
セブン会長、引退会見で見せたお家騒動の恥部:日経ビジネスオンライン
それにしても、かつては相場師としても名を馳せ、野村證券のM&Aの子会社の野村企業情報の社長だった後藤氏や、かつてイトーヨーカ堂の副社長を務めた佐藤氏のお二人が、伊藤名誉会長と鈴木会長のお二人の部屋を行き来して、互いの意向を伝えていたというのも尋常ではありません。
結局はもともと両者の間には本当の意味で信頼関係はなかったということでしょう。
ただ鈴木会長については最初におやっと思ったことがあります。最初は2006年のことでした。ライバルは同業者ではなく、お客さまだというのが鈴木会長の持論でしたが、ローソンが一部の店舗で24時間営業をやめるとしたことに鈴木会長が批判したのです。他社がなにをしようが関係ないはずですが、おそらく当時は加盟店とのトラブルが相次いでいたので、背景には24時間営業の過酷な営業についていけないセブンイレブン加盟店の不満を相当かかえているからの発言ではないかと思わず勘ぐってしまったことがあります。
大西 宏のマーケティング・エッセンス : 「コンビニは24時間営業が当たり前」で気になること
もうひとつは、「オムニセブン」です。ネットを制するものがリアルも制するという鈴木会長の理念はそのとおりだとしても、実態がともなっていません。アマゾンや楽天を筆頭に、ひしめき合うネット通販で、なにを強みにするのかが今ひとつ見えてきていません。それについてはメルマガで触れました。
オムニセブンは成功するか? - 「視点を広げる - 大西宏のマーケティ ング発想塾」 - BLOGOS(ブロゴス)メルマガ
このオムニセブンをめぐっては、事業を推進しているのは鈴木会長のご子息の康弘氏ですが、その人事についても疑問視するむきもあるようです。ビジネス・ジャーナルが取り上げていますが、どうも鈴木会長がご子息への世襲を画策しているのではないかという不信感をもった伊藤名誉会長との確執があったのかもしれません。
伊東家と鈴木家の世襲をめぐるきな臭い問題にご関心のある方はこちらをどうぞ。
2人の子息
鈴木会長の辞任で、井坂社長体制が盤石になるのかどうかわかりませんが、鈴木会長ご指摘のように、井坂社長が加盟店を統率できる人物ではないかどうかは、今後の経営の成果が示します。日本を代表する企業のひとつであり、はやく人事をすっきりさせて、顧客の満足向上に集中していただきたいものです。
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しかし、株主、加盟店のオーナー、また外野席から見れば、井坂社長就任が2009年で、その翌年から、セブン-イレブンは再びアクセルを踏み込んだように店舗数、また売上やシェアを急進させます。2015年2月期のセブン-イレブンの決算報告資料によれば、2005年度から2009年度の5年間では、業界シェアが1.9%が伸びたにとどまっていましたが、井坂社長体制になった2010年度から2014年度には5.6%伸び、業界シェアが41.6%のセブン-イレブン一人勝ち状況になっています。もし、仮に、実質それを牽引してきたのは井坂社長ではなく、鈴木会長だったとしても、かなり説明が苦しいように感じます。
記者会見の中味と、その背景にあると思われるお家騒動について、はやくも日経ビジネスが記事にしていますが、セブン&アイホールディングスの二人の創業者、イトーヨーカドー創業者で、セブン&アイの10%近くの株を持つ伊藤雅俊現名誉会長と鈴木会長の間の長年の信頼関係がこの人事案で崩れ、鈴木会長の人事案を承認しなかったことが決定打になったようです。
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それにしても、かつては相場師としても名を馳せ、野村證券のM&Aの子会社の野村企業情報の社長だった後藤氏や、かつてイトーヨーカ堂の副社長を務めた佐藤氏のお二人が、伊藤名誉会長と鈴木会長のお二人の部屋を行き来して、互いの意向を伝えていたというのも尋常ではありません。
結局はもともと両者の間には本当の意味で信頼関係はなかったということでしょう。
ただ鈴木会長については最初におやっと思ったことがあります。最初は2006年のことでした。ライバルは同業者ではなく、お客さまだというのが鈴木会長の持論でしたが、ローソンが一部の店舗で24時間営業をやめるとしたことに鈴木会長が批判したのです。他社がなにをしようが関係ないはずですが、おそらく当時は加盟店とのトラブルが相次いでいたので、背景には24時間営業の過酷な営業についていけないセブンイレブン加盟店の不満を相当かかえているからの発言ではないかと思わず勘ぐってしまったことがあります。
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もうひとつは、「オムニセブン」です。ネットを制するものがリアルも制するという鈴木会長の理念はそのとおりだとしても、実態がともなっていません。アマゾンや楽天を筆頭に、ひしめき合うネット通販で、なにを強みにするのかが今ひとつ見えてきていません。それについてはメルマガで触れました。
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このオムニセブンをめぐっては、事業を推進しているのは鈴木会長のご子息の康弘氏ですが、その人事についても疑問視するむきもあるようです。ビジネス・ジャーナルが取り上げていますが、どうも鈴木会長がご子息への世襲を画策しているのではないかという不信感をもった伊藤名誉会長との確執があったのかもしれません。
14年3月には、経営不振のセブンネットショッピングをセブン&アイ・ネットメディアが吸収合併し、その社長に康弘氏を据えた。康弘氏はセブンネットショッピングの経営不振の責任を問われることはなかったどころか、孫会社の社長から子会社の社長に格上げされ、さらにはセブン&アイHDのCIOに抜擢されたのである。
「敏文氏は82歳。オムニチャネルで康弘氏に結果を出させて、持ち株会社の取締役に引き上げ、いずれ自分の後継者にしたいと考えているのでしょう。しかし、康弘氏の手腕について社内の評価は高くはない。ネット事業は別の適任者を充てたほうがうまくいのではないかと見られています」(外資系証券会社の流通担当アナリスト)セブン&アイ鈴木会長、世襲への布石か 「結果を出せない」次男抜擢、社内から異論続出 | ビジネスジャーナル
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鈴木会長の辞任で、井坂社長体制が盤石になるのかどうかわかりませんが、鈴木会長ご指摘のように、井坂社長が加盟店を統率できる人物ではないかどうかは、今後の経営の成果が示します。日本を代表する企業のひとつであり、はやく人事をすっきりさせて、顧客の満足向上に集中していただきたいものです。
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