外野席からの声が届いて、少しでもビジネス立て直しのヒントになればと思って、ときどきマクドナルドを取り上げていますが、昨今は通りすがりに見る郊外店も、気の毒なくらい駐車場に車の姿は少なく、なにか空気も淀んだ感じがいたします。時代感、センスに欠け、お客さまの心を捉えられない状態がいつまで続くのでしょうか。そこで働いている人たちのことを想像するだけで心が痛みます。
マクドナルドが7月の月次情報を発表しましたが、既存店売上高は前年同月比12.6%減と、まだ二桁減とはいえ、7ヶ月続いた20%以上の減少からくらべると、改善したように見えます。しかし、比べる2014年7月は、月の終わり近くとはいえ、ナゲットを製造していた中国の福喜食品が使用期限切れの鶏肉を使用していた問題が発覚し、大失墜が始まった最初の月でした。そんな既存店売上が前年同月比17.4%と大きく落ち込んだ昨年より、客数も売上高もさらに落ちてしまっていることになります。
つまり数字は、マクドナルドは、浮かび上がることができない泥船状態となってしまっていて、しかもいまだに底にすら達していないことを語っているのです。

今朝は勉強会で神戸大学栗木教授の「戦略計画」と「戦略直感」についてのお話を伺いました。マクドナルドは今の事態を「分析」し、「課題」を抽出し、回復戦略を立てるというアプローチでしょうが、ほんとうに回復につながる戦略の鍵すら見出していないようにも感じます。直感力が弱く、いくら時間をかけても、本質的な課題になかなか辿りついていないもどかしさがあります。マーケティングにとって極めて重要な役割を持っている「カン」が悪すぎるのじゃないでしょうか。



ただでさえ業態そのものが成熟し、コンビニとの競争に晒され、業績が停滞していたところに、追い打ちをかけるように食品偽装、異物混入事件がつづき、信用まで揺らいだことを考えると、何度も書いてきたように、古い器の改善ではなく、新らしい魅力を創造し、姿を変えるしかありません。まさに思い切った変革が求められているのでしょう。

しかし、いったん定着したビジネスのスタイルを根本から変えることは、ワタミを見ても難しく、しかも、コンビニとのこれほど熾烈な競争がない米国に司令塔としての本社があるかぎり、日本のマクドナルドが置かれている状況はなかなか想像がつかないかもしれません。

月次セールス情報のマクドナルドのコメントに「今後も、モダンで心地よい店舗環境と最高のQSCを提供することで、お客様の総合的な店舗体験の質を高めてまいります」とあり、そういえば近くのマクドナルドが外装や内装を変えていましたが、ほんとうに改善すべきはそこかと疑ってしまいます。

こうなったら、創造力に富んだいいトップをスカウトしてくるしかないのかもしれませが、サラ・カサノバ社長は、12日に開く2015年6月中間決算の会見で販売てこ入れ策を発表する予定だそうです。
顧客離れ、苦しみもがくマクドナルド 12日にてこ入れ策発表へ (2/2ページ) - SankeiBiz(サンケイビズ)

はたしてお客さまの心をとりこにするようなサプライズを用意できるのでしょうか。注目したいところです。