エンタメ作家の百田尚樹さんだけでなく、福島瑞穂さんの右版の櫻井よしこさんも、昨年の沖縄知事選のときに、『琉球新報』、『沖縄タイムス』の不買運動をよびかけ、「できたら、本土の比較的まともな『産経新聞』とか『読売新聞』みたいな新聞が、ここでも定着していくといい」とおっしゃっていたそうなんですが、ジャーナリストとしてどうなんでしょうね。産経新聞がまともかどうかは別にして、 残念ながら産経新聞が沖縄に限らず、地方で売れることはまず絶望的です。
櫻井よしこ氏も知事選で沖縄2紙を全面批判――不買運動まで呼びかけ
日本の場合は、諸外国と比べると、中国と同じで全国紙の発行部数がやたら多く、メディアの世界も中央集権的です。とはいえ、県別に見て全国紙がトップというところは案外少ないのです。というか、遠い昔にそれを教えられ、へえっーと驚いたものです。

ちなみに、全国紙がトップだというのは、茨城県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、滋賀県、大阪府、奈良県、和歌山県、山口県だけです。つまりほとんどの地方は地元の地方紙かブロック紙が主な新聞です。

 ちなみに櫻井さんがお好きな産経新聞にいたっては、何処に行っても第三位にも入っていません。ほんとうにニッチな新聞なので、朝日や毎日とは反対方向、そして米国万歳、自民党政権の機関紙みたいな立ち位置で生き延びるというのは、マーケティングとしては正解じゃないでしょうか。

沖縄での産経新聞朝刊の発行部数は、2014年の上期でなんと285部しかなく、世帯普及率が0.05%と産経新聞は沖縄では存在しないに等しいのです。沖縄だけでなく、北海道でも売れておらず、発行部数が1,010部で、世帯普及率では沖縄よりも低い0.04%です。
[PDF]全国紙の都道府県別販売部数と 世帯普及率 - 読売新聞

マーケティングの世界では、クープマンの目標値という市場シェア理論が知られています。たとえば73.9%のシェアを取れば、首位が絶対安全で独占状態となります。脅威はライバルではなく、なにかのイノベーションが起こり、市場がなくなってしまうことだけです。シェアが6.8%に達してはじめて、そういえばそんなブランドがあったねというレベルになります。

シェアと普及率では違うだろうという厳密なことは置いておいて、それを参考に、産経新聞が、そういえば産経新聞ってあったねと認知される、世帯普及率で6.8%に達しているのはどこでしょうか。

意外なことに、大阪府(13.31%)、奈良県(15.85%)、和歌山県(9.85%)の3府県だけでした。東京都での発行部数は269,289部ですが、大阪府の発行部数547,859部の二分の一以下です。全国紙の仮面をかぶって、近畿地方の地方紙が頑張っているという感じでしょうか。関西人として、ご迷惑をかけ、まことに申し訳なく感じます。

そんな産経新聞が沖縄で普及していくためには、『琉球新報』、『沖縄タイムス』よりも過激な左よりにポジションを変えるのが早そうです。小林よしのりさんから、ネトウヨ脳だとや揶揄された櫻井さんに褒められても、かえって部数が減るばかりではないでしょうか。

「中国の脅威の最前線に否応なく立たされている沖縄を『力強い砦』にしないといけない」「中国に侵略されないような『防人』になって、もう一回、日本を盛り立てる」という櫻井よしこさんの発言は、第二次大戦で多くの犠牲者を出した沖縄の人たちはどう感じるのでしょうね。


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