「『日本のリベラル』をリベラルと呼ぶのをやめませんか」というブログ記事がありました。そう言われても、もはやなんの新鮮味も感じないほど、日本のリベラルは破綻し、影響力を失ってきました。
それよりは、もうそろそろ、日本の『保守』というくくりを使うのもやめませんかと感じる機会が増えています。『リベラル』と『保守』のいずれもがそもそも日本で存在するのかと佐々木俊尚さんが疑問を投げかけ、これからの時代に私たちはどのような立ち位置で生き残りを考えるべきかの提言をまとめられたのが「21世紀の自由論」ですが、『保守』は『リベラル』があってはじめて成り立つので、片方が凋落すれば同時に存在意義を失うのも当然です。
『日本のリベラル』は、村山政権誕生でいきなりリアルな世界に引きずりだされた社会党が瓦解し、さらに民主党政権への人びとの失望が決定打となり、きわめつけは『日本のリベラル』を代表する言論界の朝日新聞が、従軍慰安婦記事誤報をめぐり、その対応で官僚体質をみせつけところで、さらに影響力を失うことに拍車がかかりました。
そして今起こっているのは『保守』の混乱と瓦解です。もともと日本の『保守』は理念も思想もなかったから、まったく異なる考え方を持ったひとびとを束ねることができたのですが、いよいよ限界に達してきています。
いやたとえ、理念や思想があったとしても、それをも飲み込んでしまうような時代の変化、とくにグローバル化の津波が押し寄せてきています。「民主主義でないからシナは経済が発展しない」という石原慎太郎さんの信念、あるいは願望もむなしく、中国は経済成長し日本を抜き去ってしまいました。
そんな時代変化のなかで、生き抜く知恵が求められてきているということかもしれません。佐々木俊尚さんは「優しいリアリズム」という視点を示されています。中国が経済成長したのも社会主義をなりふりかまわず捨て去り、リアリズムに徹したからではないでしょうか。たとえ一党独裁だとしても日本よりはるかに資本主義的な国家になってしまったのです。
ビジネスの世界に生きていると、変化のなかではリアリズムが求められることが痛いほどわかります。めまぐるしく変化する時代は「新しい現実」に向き合うことが重要になってきます。「新しい現実」のなかで起こってくる「事実」と照らしあわせてはじめて「新しい現実」が透けて見えてきます。「事実」から目をそむけると、もう通用しなくなった過去の成功体験から得た発想から抜けだすこともできません。そうでなければ市場から淘汰されるだけです
さて、今回の安保関連法案は「合憲」か「違憲」かが問われていますが、本質は、アメリカがもはや世界の警察としての軍事力を維持する資金もなく、中東からアジアに戦略シフトするなかで、日本にもそれなりの軍事負担を行うことを求めてきていることだと思っています。
その役割をしっかり担うことで、もはやほとんど失ってきた日本の存在感を取り戻せるという発想に立つのか、いや憲法の穴を開けてまで米国の意向に従うことは、日本の独立性を損ね、また戦争に巻き込まれる危険があるという立場にたつかで違いがでてきています。
違憲で反対とはいえ、もしそうしたいのなら、国民の合意のもとに憲法を変えないといけないという立場で、 平和主義のユートピアに浮かれ、なんでも反対、リスクを負うことはまかりならんというリベラルとはかなり様相の異なる対立です。
ちなみに、米国ほど戦争のリスクを背負っている国はないということぐらいは頭の片隅に置いておいたほうがよさそうです。建国の1776年以降の239年間の93%にあたる222年は戦時下にあったという国なのですから、日本の独自の立場を守るための歯止めが必要だという議論が起こっても当然です。
America Has Been At War 93% of the Time - 222 Out of 239 Years - Since 1776 Washington's Blog
そして実は一見は近いもの同士の対立のほうが凄惨を極めた対立になりかねません。小選挙区制で執行部の支配力が強いからそうならないだけです。
「保守のなかでも保守」の小林よしのりさんが違憲だ、対米従属で戦争に巻き込まれかねないと反対すれば自民党の勉強会から排除され、同じ時期に作家の百田氏が自民党の勉強会に呼ばれ、「沖縄の二つの新聞はつぶさないといけない」と過激な発言を行うのはエンタメ作家としては許されても、「(安保法制に反対する)マスコミをこらしめるには広告料収入をなくせばいい。文化人が経団連に働き掛けてほしい」との声が自民党のメンバーから上ったというのは異常です。そんな人たちも自らを保守だと言っているのでしょうが、まるで『保守』は独裁政治の代名詞にでも自ら成り下がろうというのでしょうか。
自民党リベラルは、ヒトラー・ユーゲントに排除されたのか?(小林よしのり) -
作家・百田氏「沖縄の新聞つぶさないと」 自民改憲派の勉強会で主張 - 琉球新報 - 沖縄の新聞、地域のニュース
まだ『日本の保守』には対立点があります。アメリカ議会がTPP交渉を大統領に一任する法案TPAを可決したので、TPPが成立する流れが加速しますが、こういったグローバル化を積極的に取り込んで、日本の成長のチャンスにしようという『保守』もあれば、TPPは日本を滅ぼす最悪の選択で、むしろ保護主義を強め、不足している需要を公共投資で埋めれば日本は回復するという観念の世界で生きているとしか思えない『保守』もいます。生き延びるためには、共産党とも手を携え、ともに闘おうと叫んだ大阪の自民党も『保守』なのです。
それよりは、もうそろそろ、日本の『保守』というくくりを使うのもやめませんかと感じる機会が増えています。『リベラル』と『保守』のいずれもがそもそも日本で存在するのかと佐々木俊尚さんが疑問を投げかけ、これからの時代に私たちはどのような立ち位置で生き残りを考えるべきかの提言をまとめられたのが「21世紀の自由論」ですが、『保守』は『リベラル』があってはじめて成り立つので、片方が凋落すれば同時に存在意義を失うのも当然です。
『日本のリベラル』は、村山政権誕生でいきなりリアルな世界に引きずりだされた社会党が瓦解し、さらに民主党政権への人びとの失望が決定打となり、きわめつけは『日本のリベラル』を代表する言論界の朝日新聞が、従軍慰安婦記事誤報をめぐり、その対応で官僚体質をみせつけところで、さらに影響力を失うことに拍車がかかりました。
そして今起こっているのは『保守』の混乱と瓦解です。もともと日本の『保守』は理念も思想もなかったから、まったく異なる考え方を持ったひとびとを束ねることができたのですが、いよいよ限界に達してきています。
いやたとえ、理念や思想があったとしても、それをも飲み込んでしまうような時代の変化、とくにグローバル化の津波が押し寄せてきています。「民主主義でないからシナは経済が発展しない」という石原慎太郎さんの信念、あるいは願望もむなしく、中国は経済成長し日本を抜き去ってしまいました。
そんな時代変化のなかで、生き抜く知恵が求められてきているということかもしれません。佐々木俊尚さんは「優しいリアリズム」という視点を示されています。中国が経済成長したのも社会主義をなりふりかまわず捨て去り、リアリズムに徹したからではないでしょうか。たとえ一党独裁だとしても日本よりはるかに資本主義的な国家になってしまったのです。
ビジネスの世界に生きていると、変化のなかではリアリズムが求められることが痛いほどわかります。めまぐるしく変化する時代は「新しい現実」に向き合うことが重要になってきます。「新しい現実」のなかで起こってくる「事実」と照らしあわせてはじめて「新しい現実」が透けて見えてきます。「事実」から目をそむけると、もう通用しなくなった過去の成功体験から得た発想から抜けだすこともできません。そうでなければ市場から淘汰されるだけです
さて、今回の安保関連法案は「合憲」か「違憲」かが問われていますが、本質は、アメリカがもはや世界の警察としての軍事力を維持する資金もなく、中東からアジアに戦略シフトするなかで、日本にもそれなりの軍事負担を行うことを求めてきていることだと思っています。
その役割をしっかり担うことで、もはやほとんど失ってきた日本の存在感を取り戻せるという発想に立つのか、いや憲法の穴を開けてまで米国の意向に従うことは、日本の独立性を損ね、また戦争に巻き込まれる危険があるという立場にたつかで違いがでてきています。
違憲で反対とはいえ、もしそうしたいのなら、国民の合意のもとに憲法を変えないといけないという立場で、 平和主義のユートピアに浮かれ、なんでも反対、リスクを負うことはまかりならんというリベラルとはかなり様相の異なる対立です。
ちなみに、米国ほど戦争のリスクを背負っている国はないということぐらいは頭の片隅に置いておいたほうがよさそうです。建国の1776年以降の239年間の93%にあたる222年は戦時下にあったという国なのですから、日本の独自の立場を守るための歯止めが必要だという議論が起こっても当然です。
America Has Been At War 93% of the Time - 222 Out of 239 Years - Since 1776 Washington's Blog
そして実は一見は近いもの同士の対立のほうが凄惨を極めた対立になりかねません。小選挙区制で執行部の支配力が強いからそうならないだけです。
「保守のなかでも保守」の小林よしのりさんが違憲だ、対米従属で戦争に巻き込まれかねないと反対すれば自民党の勉強会から排除され、同じ時期に作家の百田氏が自民党の勉強会に呼ばれ、「沖縄の二つの新聞はつぶさないといけない」と過激な発言を行うのはエンタメ作家としては許されても、「(安保法制に反対する)マスコミをこらしめるには広告料収入をなくせばいい。文化人が経団連に働き掛けてほしい」との声が自民党のメンバーから上ったというのは異常です。そんな人たちも自らを保守だと言っているのでしょうが、まるで『保守』は独裁政治の代名詞にでも自ら成り下がろうというのでしょうか。
自民党リベラルは、ヒトラー・ユーゲントに排除されたのか?(小林よしのり) -
作家・百田氏「沖縄の新聞つぶさないと」 自民改憲派の勉強会で主張 - 琉球新報 - 沖縄の新聞、地域のニュース
まだ『日本の保守』には対立点があります。アメリカ議会がTPP交渉を大統領に一任する法案TPAを可決したので、TPPが成立する流れが加速しますが、こういったグローバル化を積極的に取り込んで、日本の成長のチャンスにしようという『保守』もあれば、TPPは日本を滅ぼす最悪の選択で、むしろ保護主義を強め、不足している需要を公共投資で埋めれば日本は回復するという観念の世界で生きているとしか思えない『保守』もいます。生き延びるためには、共産党とも手を携え、ともに闘おうと叫んだ大阪の自民党も『保守』なのです。
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