経営は業績が好調なときよりは、業績が落ちてきたときのほうがはるかに難しいものです。好調なときは対処できる問題も、業績が悪化してくると、顧客のブランドへの信頼も低下し、それが不信感を生む原因となり、問題への対処が困難になることもあります。それよりは、業績が悪化してくると、そのしわ寄せが組織の隅々に広がってきます。経営、あるいは上層部に対する現場の信頼も低下し、結果として、じわじわと働く人びとの心が荒み始め、好調なときにはあった現場の緊張感も消え、仕事のリズムまで狂ってきます。マクドナルドで異物混入問題が次々に発覚してきていますが、これらの一連の問題はそれを象徴しているかのようです。
人の行うことに完璧はありません。トラブルはかならず発生します。マクドナルドのような業態なら、現場、とくに店舗で働く人たちのモチベーションが高いと、現場の人びとがトラブル発見の最後の砦ともなり、また問題が発生したときに対処する要となってきます。初期対応が悪ければ、たとえ、小さな問題も被害者との感情のねじれが生じて、波紋が広がってしまいます。
それを物語るように、今回の異物混入は、店舗で発生した疑いが濃いものが多く、しかも、店員が見つかった異物を紛失したうえ、店長にも知らせていなかったということもありました。デザートにプラスチック片が混入し、食べた子供が口の中を怪我した問題がありましたが、店舗のソフトクリーム製造機の故障で破損した部品でした。
サンデーチョコレートからは機械部品!マック郡山安積店―子供が食べ「なんだこれ!?」 : J-CASTテレビウォッチ
そんなトラブルが発生した時に、店舗や本部の初期の対応がどうだったのかの疑問も湧いてきます。購入した商品で幾度かトラブルがあったことがありますが、その際の対応の良し悪しで、企業に対して不信感を深めたり、逆に対応の誠実さ、また親切さに、あらためてその企業、またその企業で働く人たちへの信頼感が増したということもあります。きっとそんな経験を持つ人は多いと思います。
つまり、問題発生を防ぐのは、工場や店舗の設備、あるいは運営の質だけでなく、消費者や顧客と接する現場の質にもかかっているということです。
おそらくこれまでも、異物混入やクレームは発生していたのだと思いますが、これまでと違っているのは、ふたつの点です。
ひとつは、マクドナルドの食品の安全性への不信感が消費者のなかに深く広がっていて、小さな問題への対処方法によって、波紋が増幅されてしまうことです。同じ消費者でも、その企業を信頼している、あるいはその人にとって、その企業の製品やサービスが必要不可欠だと感じている場合と、心のなかに不信感や、不安を抱えている場合では、問題に遭遇した時の反応も、行動も違ってくるものです。
もうひとつは、消費者接点の現場での、問題発生に対する意識や行動の質の低下で、問題対処の最後の砦としての機能、問題解決の行動の質の低下です。
執行役員の人たちの記者会見が行われ、その様子がニュースに流れていましたが、おそらく知的には優秀な方々でしょうが、どうも当事者の言葉ではなく、第三者としての発言であり、マクドナルドのお客さんに対する愛情や配慮に欠けているという印象を言葉の端々に受けました。「顧客に寄り添う心」の不足です。
上層部がそうなら、それは現場にも影響してきます。思い出すのは、スターバックスの立て直しに、経営者の第一線から退いていた実質的創業者のハワード・シュルツ氏がCEOに返り咲き、見事に立てなおしたことでした。再建にあたって、店舗でのサービスの質の向上のために展開したのが、my Starbacks storyでした。世界界中のスターバックスで働く従業員の人たちに、スターバックスで働く日々が、それぞれの人たちにとってどのような生活なのかを、2分以内のビデオで表現して、また自らをアピールするビデオのコンテストで、ホームページにも公開されていました。
現場の重要性をシュルツCEOは熟知していて、まずは、店舗で働く人びとのモチベーションを高めたのです。従業員の満足度を高めることが顧客満足を高めるととにつながることをシュルツCEOはわかっていたのでしょう。
スターバックスの生き生きリクルート作戦
まして、マクドナルドは経営の効率化をはかるために、原田CEO時代に、直営店をフランチャイズ店に転換する施策をとってきました。それは、資本効率は高まるとしても、マクドナルド本部と現場との距離も増します。今回の一連の問題も、それが遠因となっているのかもしれません。
おそらく今でも、ベテランの店員さんのなかには、たとえパートで働いていても、「顧客に寄り添う心」を持った人は残っているのでしょうが、そんなかけがえのない資産となる風土も、時とともに風化していきます。
マクドナルドは、致命的な危機に陥ったと思いますが、それを立て直すのは、経営管理の知識に長けた人でも、人並み外れた胆力をもった鉄人でもなく、創業の原点にはきっとあった「顧客に寄り添う心」を持つ人だと思いますが、はたして、そんな人材を得ることができるのでしょうか。

それを物語るように、今回の異物混入は、店舗で発生した疑いが濃いものが多く、しかも、店員が見つかった異物を紛失したうえ、店長にも知らせていなかったということもありました。デザートにプラスチック片が混入し、食べた子供が口の中を怪我した問題がありましたが、店舗のソフトクリーム製造機の故障で破損した部品でした。
サンデーチョコレートからは機械部品!マック郡山安積店―子供が食べ「なんだこれ!?」 : J-CASTテレビウォッチ
そんなトラブルが発生した時に、店舗や本部の初期の対応がどうだったのかの疑問も湧いてきます。購入した商品で幾度かトラブルがあったことがありますが、その際の対応の良し悪しで、企業に対して不信感を深めたり、逆に対応の誠実さ、また親切さに、あらためてその企業、またその企業で働く人たちへの信頼感が増したということもあります。きっとそんな経験を持つ人は多いと思います。
つまり、問題発生を防ぐのは、工場や店舗の設備、あるいは運営の質だけでなく、消費者や顧客と接する現場の質にもかかっているということです。
おそらくこれまでも、異物混入やクレームは発生していたのだと思いますが、これまでと違っているのは、ふたつの点です。
ひとつは、マクドナルドの食品の安全性への不信感が消費者のなかに深く広がっていて、小さな問題への対処方法によって、波紋が増幅されてしまうことです。同じ消費者でも、その企業を信頼している、あるいはその人にとって、その企業の製品やサービスが必要不可欠だと感じている場合と、心のなかに不信感や、不安を抱えている場合では、問題に遭遇した時の反応も、行動も違ってくるものです。
もうひとつは、消費者接点の現場での、問題発生に対する意識や行動の質の低下で、問題対処の最後の砦としての機能、問題解決の行動の質の低下です。
執行役員の人たちの記者会見が行われ、その様子がニュースに流れていましたが、おそらく知的には優秀な方々でしょうが、どうも当事者の言葉ではなく、第三者としての発言であり、マクドナルドのお客さんに対する愛情や配慮に欠けているという印象を言葉の端々に受けました。「顧客に寄り添う心」の不足です。
上層部がそうなら、それは現場にも影響してきます。思い出すのは、スターバックスの立て直しに、経営者の第一線から退いていた実質的創業者のハワード・シュルツ氏がCEOに返り咲き、見事に立てなおしたことでした。再建にあたって、店舗でのサービスの質の向上のために展開したのが、my Starbacks storyでした。世界界中のスターバックスで働く従業員の人たちに、スターバックスで働く日々が、それぞれの人たちにとってどのような生活なのかを、2分以内のビデオで表現して、また自らをアピールするビデオのコンテストで、ホームページにも公開されていました。
現場の重要性をシュルツCEOは熟知していて、まずは、店舗で働く人びとのモチベーションを高めたのです。従業員の満足度を高めることが顧客満足を高めるととにつながることをシュルツCEOはわかっていたのでしょう。
スターバックスの生き生きリクルート作戦
まして、マクドナルドは経営の効率化をはかるために、原田CEO時代に、直営店をフランチャイズ店に転換する施策をとってきました。それは、資本効率は高まるとしても、マクドナルド本部と現場との距離も増します。今回の一連の問題も、それが遠因となっているのかもしれません。
おそらく今でも、ベテランの店員さんのなかには、たとえパートで働いていても、「顧客に寄り添う心」を持った人は残っているのでしょうが、そんなかけがえのない資産となる風土も、時とともに風化していきます。
マクドナルドは、致命的な危機に陥ったと思いますが、それを立て直すのは、経営管理の知識に長けた人でも、人並み外れた胆力をもった鉄人でもなく、創業の原点にはきっとあった「顧客に寄り添う心」を持つ人だと思いますが、はたして、そんな人材を得ることができるのでしょうか。
モバイルの活用を広げる営業支援システム アクションコックピット
![]() 美味しい飲み比べセットあります。酒米王様「山田錦」で仕込んだ至高の飲み比べ違いを感じてみ... |
このブログにコメントするにはログインが必要です。
さんログアウト
この記事には許可ユーザしかコメントができません。