一等地に立派な本社ビルを建てると経営が傾くという都市伝説みたいなものがあります。その本社ビル建設のために、韓国の現代自動車が、ソウルの一等地をめぐって、サムスンと競り合い、評価額の3倍の1兆700億円で落札したことは驚くべきニュースでした。
サムスンを制し「1兆円」落札 現代自動車“乾坤一擲”の賭け|ダイヤモンド・オンライン
しかし、もっと驚かされたのは、なんと5名の社外取締役にその価格が知らされたのは、契約が終わってからだったというのです。
現代自動車の取締役会、1兆円の土地購入を価格知らずに承認 - WSJ
サムスンを制し「1兆円」落札 現代自動車“乾坤一擲”の賭け|ダイヤモンド・オンライン
しかし、もっと驚かされたのは、なんと5名の社外取締役にその価格が知らされたのは、契約が終わってからだったというのです。
現代自動車の取締役会、1兆円の土地購入を価格知らずに承認 - WSJ
常識的に考えれば、現代自動車が投資すべきは、ますます競争が激しくなってきた自動車の開発や、なによりも品質の向上や燃費の虚偽表示問題などからのブランドイメージの回復にむけてのマーケティングだったはずです。土地購入の決定の不透明さや、疑問符がつく巨額の投資であったために、現代自動車の株は投げ売られ、10%以上急落してしまいました。
それでなくとも、米国市場では、この1〜9月は新車販売台数が前年同期から5.5%伸びたにもかかわらず現代自動車は1.7%増と伸び悩み、しかもお膝元の韓国自動車市場で、ドイツ車を中心に輸入車攻勢が強まり、現代自動車のシェアが、今年4月の44.6%以降に毎月下落しつづけ、9月には37.2%まで急降下してしまっています。足元がおぼつかない状況での、思い切った本社用地への投資を行なったことになります。
さて、地価の高いところに立派な本社ビルを建てて、その後の業績が急落した例は決して少なくありません。記憶に残っているものでは、山一證券が、バブル崩壊の影響で1997年に倒産しましたが、本社ビルが完成したのがその前年でした。その本社ビルが、いまは茅場町タワーとして残っています。
成長し続けていた現代自動車が本社の用地を買ったタイミングは、かつてのソニーとイメージが重なってきます。
出井元会長が、社長就任後に「リ・ジェネレーション(第2創業)」、「デジタル・ドリーム・キッズ」を掲げて新生ソニーとしてのチャレンジを積極果敢に行い、就任3年後には過去最高の業績となります。しかし2003年に突然、ソニーショックが襲います。年度最後の2003年1-3月期が大幅な最終赤字となり、2004年通期の予測が前期比30%減の営業利益1,300億円になるとの見通しを明らかにしたからでした。そんな翌年に本社ビルの着工が始まり、2006年に竣工しますが、その後にソニーが辿ってきた道はご存知のとおりです。
本社ビルを立派にすることと、業績の悪化が重なるのは、ただの偶然かもしれませんが、しかし無関係だとも言い切れないように感じます。なぜなら本社は、顧客価値を生み出す拠点ではないからです。顧客価値を生み出すのは、研究開発やマーケティングを担う拠点、また製造拠点や営業拠点です。投資として優先されるべきは、価値を生み出すためのヒト、モノ、カネ、情報であって本社ビルではないはずです。
ちなみに、かなり昔になりますが、アメリカのベンチャー企業に単独で訪問したことがありますが、ロスアンジェルスからかなり離れた郊外の倉庫群のなかで、そこにデータセンターもありました。オフィスは快適そのものでしたが、低コストで運営されていたのでしょう。アップルやグーグルの本社も、決して一等地ではありません。
シリコンバレーにある、アップル本社への行き方と場所を紹介 - Latte
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ソウルの一等地に本社を構えることは、韓国内では企業のステータスにはなるのでしょうが、企業のステータスが向上しても、顧客にとっては関係がないことです。ましてソウルの一等地に本社があっても海外ではステータスにもなりません。現代自動車がサムスンと競ったのも、国内でのステータスが欲しかったからではないでしょうか。
しかし、現代自動車を日本は笑うことができないようにも感じます。日本を振り返ってみても、地価の高い東京に本社が集積されすぎています。本社をよりコストの安いところ、働く人たちにとってもっといい環境が得られる場所に移すという発想が広がらないと、東京一極集中の流れも変わらないのでしょうね。

それでなくとも、米国市場では、この1〜9月は新車販売台数が前年同期から5.5%伸びたにもかかわらず現代自動車は1.7%増と伸び悩み、しかもお膝元の韓国自動車市場で、ドイツ車を中心に輸入車攻勢が強まり、現代自動車のシェアが、今年4月の44.6%以降に毎月下落しつづけ、9月には37.2%まで急降下してしまっています。足元がおぼつかない状況での、思い切った本社用地への投資を行なったことになります。
さて、地価の高いところに立派な本社ビルを建てて、その後の業績が急落した例は決して少なくありません。記憶に残っているものでは、山一證券が、バブル崩壊の影響で1997年に倒産しましたが、本社ビルが完成したのがその前年でした。その本社ビルが、いまは茅場町タワーとして残っています。
成長し続けていた現代自動車が本社の用地を買ったタイミングは、かつてのソニーとイメージが重なってきます。
出井元会長が、社長就任後に「リ・ジェネレーション(第2創業)」、「デジタル・ドリーム・キッズ」を掲げて新生ソニーとしてのチャレンジを積極果敢に行い、就任3年後には過去最高の業績となります。しかし2003年に突然、ソニーショックが襲います。年度最後の2003年1-3月期が大幅な最終赤字となり、2004年通期の予測が前期比30%減の営業利益1,300億円になるとの見通しを明らかにしたからでした。そんな翌年に本社ビルの着工が始まり、2006年に竣工しますが、その後にソニーが辿ってきた道はご存知のとおりです。
本社ビルを立派にすることと、業績の悪化が重なるのは、ただの偶然かもしれませんが、しかし無関係だとも言い切れないように感じます。なぜなら本社は、顧客価値を生み出す拠点ではないからです。顧客価値を生み出すのは、研究開発やマーケティングを担う拠点、また製造拠点や営業拠点です。投資として優先されるべきは、価値を生み出すためのヒト、モノ、カネ、情報であって本社ビルではないはずです。
ちなみに、かなり昔になりますが、アメリカのベンチャー企業に単独で訪問したことがありますが、ロスアンジェルスからかなり離れた郊外の倉庫群のなかで、そこにデータセンターもありました。オフィスは快適そのものでしたが、低コストで運営されていたのでしょう。アップルやグーグルの本社も、決して一等地ではありません。
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ソウルの一等地に本社を構えることは、韓国内では企業のステータスにはなるのでしょうが、企業のステータスが向上しても、顧客にとっては関係がないことです。ましてソウルの一等地に本社があっても海外ではステータスにもなりません。現代自動車がサムスンと競ったのも、国内でのステータスが欲しかったからではないでしょうか。
しかし、現代自動車を日本は笑うことができないようにも感じます。日本を振り返ってみても、地価の高い東京に本社が集積されすぎています。本社をよりコストの安いところ、働く人たちにとってもっといい環境が得られる場所に移すという発想が広がらないと、東京一極集中の流れも変わらないのでしょうね。
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