2013年12月期連結決算の純利益が前期比60%減の51億円と、2期連続の減益となったことを発表した矢先の先週末にマクドナルドの月次セールスレポートが発表されました。それによると、既存店、全店の1月の売上高が7ヶ月ぶりにプラスとなり、カサノバ新社長の反撃が効を奏しつつあるのかと思わせます。
ただ、前年の1月の既存店売上高が対前年同月比で17.0%減、全店売上高が15.2%減であったこと、また、このキャンペーンにかなりテレビコマーシャルを投入したり、かつてビッグ・アメリカのキャンペーンと同じようにブロガーを集めた試食会を行ったりきめ細かな展開を行ったことを考えると、まだまだ無条件で成果がでてきたとは言えない微妙な結果だと感じます。
日経の記事によると、現在マクドナルドが展開しているアメリカンビンテージ70'sのキャンペーンが、カサノバ新社長は「1月に投入した新商品へのお客の反応は大変いい」という感触を得ているようです。
ただ、前年の1月の既存店売上高が対前年同月比で17.0%減、全店売上高が15.2%減であったこと、また、このキャンペーンにかなりテレビコマーシャルを投入したり、かつてビッグ・アメリカのキャンペーンと同じようにブロガーを集めた試食会を行ったりきめ細かな展開を行ったことを考えると、まだまだ無条件で成果がでてきたとは言えない微妙な結果だと感じます。
1月の既存店の客数もまだ5%減で、昨年10月から12月の二桁減という厳しい状態からは回復したとはいえ、まだ客離れから脱しておらず、キャンペーン商品による客単価アップで売上をようやくカバーできたにすぎません。
同記事で、カサノバ社長は「客をひき付けるメニューを提供できなかったことが教訓になった」としているようですが、まさにマクドナルドは客をひき付ける魅力を失いつつあった、なにか新しい魅力を創造しなければ、客がマクドナルドに訪店する意味を失ってきたといえそうです。
顧客の心に響くほどのメニューあるいはサービスのヒットを発見しなければ、客を再び呼び戻すことが難しそうですが、おそらくカサノバ新社長はどんどん新メニューを投入する展開を続けてくるものと思います。
まさに「撃て!狙え」で、どんどん新メニューを投入するうちにヒットすれば、客の心に響くもの、あるいはコトもわかってくるという感じでしょうか。
マクドナルドよりは戦略的に自らを変え始めているのが吉野家ではないでしょうか。昨年10月以降は既存店売上高も全店売上高も対前年を上回る実績が続いています。長年守ってきた「うまい、やすい、はやい」から「うまい、やすい、ごゆっくり」への転換がそのことを物語っています。しかもメニューづくり、しくみづくり、環境づくりの3つの戦略も明快です。
マクドナルドの教訓は、いかに勝ち組ともてはやされたエクセレントな企業でも、市場環境の変化を読み間違え、自らを変えることに失敗すれば一瞬に負け組に陥ってしまうことです。
コンビニエンスストアの弁当や惣菜などの日配品の好調さを考えれば、ファーストフード市場では、同業種間の競合だけでなく、あきらかにコンビニエンスストアに顧客を奪われ始めたと見ることができます。さらに100円コーヒーでの顧客吸引策もコンビニエンスストアの「淹れたてコーヒー」のサービスのヒットで、効果が薄れてしまいました。
企業を取り巻く環境の変化によって、勝ち組企業でも大きな影響を受け、一瞬に負け組に転落してしまう事例はファーストフード業界に限ったことではありません。かつて日本の半導体産業は、1990年代までのDRAM市場で世界市場を席巻していました。しかし、DRAMの顧客の主役が1990年代後半ぐらいから大きく変わります。市場の成長を支えたのが、それまでのメインフレームからPCへ、それ以後のノートPCへと移っていきます。そうなるとそれまで25年使っても持つ耐久性を市場は求めていたのですが、進化のはやいPCでは耐久性よりも価格の安さや大量の供給が求められるようになりました。日本の半導体産業はその新しい需要に応える技術を生み出すことに失敗したのです。
この場合も半導体の品質はこうあるべきだというパラダイムから抜け出せなかったことが敗北の原因でした。
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