1月の既存店売上が対前年で-17.0%と失速し、ようやく商品メニューも問題だと気がついたのか、かつてヒットした"Big America ALL STARS”をまるで付け焼刃のように再登場させたのですが、やはり2月も-12.1%と気の毒な状況になってきています。
少し前に、日経がマクドナルドの失速を取り上げ、その不振が、あたかも消費者行動の変化、外食離れにあるかのように記事を書いていたのですが、ほんとうに経済紙の記者が書いたのかと疑うものでした。
マクドナルドにとって深刻なのは、高額のヒット商品の不在よりも、想定以上の外食離れという構造問題。震災を境に消費者の購買行動は変わり、不要な外出は避け、食事はできるだけ身近な場所で済ますようになっていた。その最大の受け皿となったのがコンビニ。

なにを調べたのか、少しは自分の頭で考えてみたのかと疑います。マクドナルドの言い訳そのものです。しかし、現実は違います。大手外食チェーン主要17ブランド(社)の既存店売上高対前年比の推移をひと目でも見れば、どこにも外食離れの兆候などはなく、企業によって業績の差がでていることぐらいはわかるはずです。

それほど外食離れが起こっているのなら、マクドナルドよりも価格が高く、また60秒どころか何分も待たされるモスバーガーはとっくにもっと失速し、ひどい状態になっているはずです。そこでマクドナルドとの比較のグラフを作成してみました。
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この比較がすべてを語っているように感じます。マクドナルドの失速とは対照的に、モスバーガーは昨年10月を境に好調を続けているのです。あの記事を書いた日経記者はモスバーガー好調の原因をどう説明するのでしょう。

市場の変化、消費者行動の変化が向かい風になってビジネスに脅威になってくることはしばしばあります。逆に市場に追い風がふいてくればビジネスに勢いがついてきます。しかしビジネスが失速するのは多くは経営の失敗であり、また内部に問題を抱えているからです。

スモールビジネスの場合は、ビジネスがうまくいかない場合は、決して市場環境のせいにはしません。経営者がそんな風に考える会社は誰も相手にせず、すぐさま吹っ飛んでしまいます。ビジネスの不調は自分たちの問題だと考え、なんとか不調から脱出しようともがきます。しかし環境変化が激しい今日ではビッグビジネスでも同じことがいえる時代になってきています。

マクドナルドに魅力ある商品メニューがないことが失速の原因だと原田CEOが気がついたのか、かつてヒットした"Big America ALL STARS”をまるで付け焼刃のように再登場させました。記憶では2月にはいってすぐだったと思います。それでも失速に歯止めをかけることができませんでした。

新しいメニューではなく、"Big America ALL STARS”を再登場してきたときに感じたのは、マクドナルドの内部でなにかが起こったという直感です。かつてのリピートではニュース性もなく話題にもなりません。
それでもあえて再登場させざるをえなかったのは、メニューを開発する組織なり、人材なりがなにかの原因で機能しなくなり、新たなレシピを開発できなかったのでしょう。

オフィスの近くのマクドナルドは研修設備があり、マクドナルドの新入社員の人や他の店から社員の人たちがいつも来ています。そのマクドナルドの店の外の一角に二宮金次郎の石像が突然建てられたことを以前にご報告しましたが、経営がカルトになってきたのではないかとすら疑ってしまいます。
マクドナルドに二宮金次郎像の怪 - 大西 宏のマーケティング・エッセンス  : 

外食の小さな店は、この3月に入って寒さが和らいできたためにお客さんが戻ってきたという話をよく聞きます。それに昨年後半ぐらいから消費の潮目が変化してきて、消費者が気分転換を求めはじめていることをひしひしと感じます。そういった人々は、おそらくマクドナルドという安さや便利さだけしか感じないファーストフードには立ち寄りません。

市場の環境変化には敏感なアンテナが必要です。しかし環境変化は、それは利用したり、乗り越えるべき対象です。問題があれば、敵は外ではなく内部にあると考えたほうが解決への知恵も努力も生まれてくるのではないでしょうか。

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