内閣改造効果もなく、野田政権の支持率が低下してきたのは閣僚の顔ぶれに影響するところが大きかったのでしょう。まだスタートしたばかりだというのに、やはりというか田中法相の更迭となりました。資質に欠けた閣僚を抜擢した野田総理の責任は重いと感じますが、閣僚の資質が足をひっぱった安倍内閣の末期を彷彿とさせます。民主党、自民党ともに、既成政党は、政治家を育てることに失敗していることを痛感します。だから政治が劣化してきて、政治ではなく政局を追いかけた動きばかりが目立つようになってきました。これはあきらかに国民の不幸です。
閣僚の資質が問われているだけでなく、民主党は政権を委ねた国民を裏切った結果となってしまいました。こちらも目立ったのは政治の品質の劣化です。政権担当力のなさに国民の心も冷めてしまいました。
民主党にしても、自民党にしても、なかには有能な政治家の人もいらっしゃると思っていますが、しかし資質のバラツキ、価値観のバラツキが大きく、数だけ揃えているという結果になってしまっていると感じてしまいます。
現代は、もはや思想で、右だとか、左だというのはほとんど意味をなさない時代です。保守と言っても、それこそ大日本帝国に戻ることを夢見る人もいれば、市場競争を重視する人もいるわけで、すでにアイデンティティを失っています。革新も新しい役割やポジションをつくることに失敗し、民主党に潜りこむことで延命してきたのが現実でしょう。
思想よりも問われているのは、化石のようになった右か左かの思想ではなく、日本の国のカタチをどのようにしたいか、将来に向けてどのような日本を築いていきたいかという新たな思想や構想力であり、また、現実の大きな変化にどのように対処していくのか、打つ手の正確さ、政治の舵取りの巧みさなど、問題解決能力に移ってきています。しかも、どの課題ひとつとっても、経済や社会、また国際関係が複雑化するとともに、また過去にはなかった未知数の課題ばかりとなり、さらに政治家、政党に求められる能力や資質のハードルは高まってきています。
少子高齢化にしても、巨額の財政赤字にしても、景気の低迷にしても、どう対処すればいいかは、すべて過去の教科書にはないことばかりです。いやがおうでも、新しい解決方法を見出して行かなければなりません。
未知数の課題が増えるとともに、それぞれの政策のリスクも高まってきています。対処する教科書がないのですから。例えば欧米は、日本を無策だとして、思い切った金融緩和政策を取りましたが、あの偉そうな態度はなにだったのかというほど、一向にその成果があがっている気配がありません。
過去の経験からは正解が見いだせない時代、これはビジネスが経験してきた世界です。しかしそのなかでも成長を勝ち取っている企業に共通しているのは、環境変化への適応力です。円高が経営を苦しめるなかでも、円高を利用して海外企業を買収する経営を積極果敢に行なってきた企業もあります。変化への対応力でしょう。
環境変化への対応力は、経営力の問題です。つまり「経営の品質」によって業績が左右される時代になって来ています。かつてのモノづくりの時代は、経営よりも現場の強さが効いた時代でした。経営は現場を調整する能力があればよかったのです。今日は経営能力そのものが問われてきています。モノづくりの時代のパラダイムから抜け出せなかった日本の大企業の多くがその変化に乗り遅れ、成長性を失ってきました。
政治も同じだと思います。政治を支えるのは国民ですが、国民に政策を提示し、共感や支持は集めるのは政治家や政党の役割です。政治にもそんなリーダーシップが求められてきています。もう利権をバラまいたところで、先がないことも見えてきており、政治家や政党が、なにを目指しているのかをより具体的に示し、現実の課題に向き合って、実行可能で的確な政策を生み出すことです。そのためには、「政治の品質」づくりに政党が真面目に取り組むことではないでしょうか。
「政治の品質」を支えるのは、ひとりのリーダーだけではありません。「政治の品質」はひとりひとりの政治家が支え、また最終的には国民が支えます。その橋渡しを行なうのがメディアだと思いますが、こちらも経営品質の劣化が目立ってきています。
人口増、経済成長といった右肩あがりの時代には、自民党は派閥によって人を育ててきました。しかし派閥ももはや弊害のほうが大きくなり、自民党も「政治の高い品質」を生み出す仕組み、政治家を育て、生み出す仕組みやソフトウェア、あるいはヒューマンウェアを失っているように感じます。また民主党も「政治の品質」をつくることに失敗し、政治を劣化させてしまいました。
期待したいのは、支持組織や過去のしがらみを多く持っている既成政党ではなく第三極です。政策は状況によって変化してきますし、また未経験の領域ではやってみてその結果から修正を行なっていく方法を取らざるをえません。個々の政策は現実のなかで最適を求めていけばいいのでしょうが、構想力や問題解決能力といった「政治の高い品質」がなければ、この変化や、大きな課題に立ち向かうことには耐えられません。「政治の品質」向上に取り組むことは、派手さはありません。しかし、国民の本当のニーズはそこにあるのではないかと思っています。
しかし残念なことに、「高い資質や能力をもった政治家」を集め、育てる仕組みやソフトウェア、ヒュマンウェア、「政治の品質」づくりに取り組むことを目指した政党は、いまのところ見当たりません。
それもひとつのチャンスだと感じます。既成の枠組みを破壊し、政界再編を促し、高い「政治の品質」を生み出すことにチャレンジすることを若手の政治家の皆さまには特に期待したいところです。
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