
自民党の総裁選でまた古い顔や体質がちらほら現れ、政治がもとに戻ってしまうのかと心配材料がでてくるところが「自民党らしさ」でしょうか。
さて、民主もダメだ、自民もとなると、「第3極」として「みんなの党」に注目がもっと集まってもと思うのですが、維新の会にすっかり人気をとられ、影が薄くなってしまいました。さらに、みんなの党から参院議員3名が維新の会に合流し、分裂の危機すら起こっています。次期衆院選には、57人の新人候補者の擁立を既に決定しているということですが、なかなか厳しいのではないでしょうか。
みんなの党と維新の会ではめざすところが極めて近く、しかもみんなの党のほうが「第3極」としては維新の会よりも先輩にもかかわらず、既存政党への国民の不信感を取り込めていないことは、みんなの党にとっては残念なことです。なぜそうなってしまったのでしょうか。
一般的には先発製品が圧倒的に有利で、後発製品は厳しいことが知られています。たとえばビールではかつてドライ戦争がありました。アサヒのヒットにキリンも遅れてチャレンジしても、やはりドライで先発のアサヒにキリンは勝てず、やがて市場の流れがドライに移るにつれ、ビール市場のトップの座をアサヒに譲ることにまでなります。
いったん「ドライはアサヒだ」というブランドイメージができ、ビール市場でドライが伸びてくると、同じ「ドライ」という土俵にライバルが市場に参入してくればくるほど「ドライ」に注目が集まり、大きなトレンドとなり、「ドライ」市場を広げます。そうなればなるほど「ドライはアサヒ」というイメージをつくったブランドが有利になってきます。
だから本来は、維新の会人気は、みんなの党にとっても追い風になるはずでしたが、そうはならなかったのです。みんなの党は、最初に「第3極」の位置取りに成功したにもかかわらず、「第3極」のイメージはすっかり維新の会に移ってしまった感があります。
ビジネスでも、稀に先発製品が後発製品に飲み込まれてしまう場合があります。同じビール市場では、第三のビールの場合は、サッポロの「ドラフトワン」が先発だったにもかかわらず、キリンの「のどごし<生>」のヒットで、キリンがトップシェアの座を奪います。スマートフォンもそうです。ノキアやブラックベリーが先発でしたが、市場をブレークさせたのは後発のアップルでした。今はアップルとアンドロイド勢が市場のほとんどを占めるようになってきています。
なぜでしょうか。目指していること、掲げているアジェンダは「第3極」であっても、実際の行動が「第3極」に感じられなかったからだと思います。
決定的だったのは、「野党」の立場を選択してしまったことです。それが、既存の政党と同じだと国民には映ってしまったのだと思います。
倒閣できるわけでもないのに、自らの力量を超えたチャレンジを行なってしまったように感じます。結果、小さな野党として埋没してしまったのです。
本来は争点をずらすべきでした。橋下市長が個別の政策よりも、国の統治のあり方に争点を集中してきたこととは対照的です。橋下市長は、情勢に応じて、与党とも野党とも距離を見定めながら動いてきています。みんなの党は、掲げている理念だけではなく、行動でも他の野党との違いを見せること、これまでの既成政党にない振る舞い方を示すべきだったのです。
原因は渡辺党首にしても江田幹事長にしても国政のプロでありすぎたのかもしれません。プロの方が意識を変えることが難しいものです。今では小さな政党でしか無いにもかかわらず、影響力を発揮できた与党時代の意識や感覚から抜け出せていないからではないかと感じます。江田幹事長のブログでもそんなみんなの党の限界が透けて見えます。
民主党や自民党の党首選はみんなの党にとっては最初からどうでもいいことです。「看板だけ変えても、表紙だけを変えても、その党の構造的組織的欠陥が是正されない限り、誰がなっても同じだからだ。これまでの歴史が証明している」というのはその通りでしょう。
しかし、こちらは違うと思います。
総選挙の最大のポイントは何か? それは選挙後、自民党が第1党になって、今後の日本政治を主導していくことだけは阻止しなければならない、ということだ。そこが、我々みんなの党を含む第3極の役割なのだ。
なにが違うのかですが、みんなの党には、「自民党が第1党になって、今後の日本政治を主導していくこと」を阻止する影響力は持っておらず、当面は第1党との対立よりも、照準をみんなの党の主張をより多くの国民に知ってもらうこと、連携相手を見つけ、またファンを広げることに当てることではないかと感じます。
弱者は、政局を利用したとしても、強者と強者の争いに巻き込まれてはいけないのです。政局に巻き込まれるとさらに野党として埋没してしまうリスクを負ってしまいます。
応援クリックよろしくお願いします
それはさまざまな競争について観察し、学んできたマーケティングの教訓ではないでしょうか。みんなの党は、誰を見て行動しているかも、行動の仕方も、立ち居振る舞いも、「第3極」としての違いを見せてこそ存在感がでてきます。
アジェンダというお題目は確かに「第3極」かもしれません。しかし、国民が見ているのは「お題目」ではなく、実際の発言や、行動です。それが、たんなる「野党」では、既成政党との違いが見えてこないのです。
もっといえば、なにでもいいのですが、みんなの党には、なにか新しいことを仕掛けてもらいたいものです。他党を批判するエネルギーをそちらのほうに割いてもらいたいものです。
たとえば、語りかける対象を国民に絞り、イベントを行い、そこに参加を呼びかけるということもできるはずです。国民を巻き込むこと、それに全力を上げれば、既成政党との違いも感じてもらえるはずです。
江田幹事長が「その第3極が区々に分かれているようでは、この自民党の、既成政党の厚い壁が打ち破れない。だからこそ、政治理念や基本政策を軸に結集していく必要があるのだ」とご高説を賜るのではなく、その第3極が結集しやすいイベントなりの場や条件をつくるアイデアが必要なのです。
もう理念を訴える段階は過ぎており、具体的にその実現に向けて、なにができるかです。自民党や民主党も関係ないのです。もっと国民に目を向けて本気で頑張っていただきたいものです。
応援クリックよろしくお願いします

![]() 美味しい飲み比べセットあります。酒米王様「山田錦」で仕込んだ至高の飲み比べ違いを感じてみ... |
このブログにコメントするにはログインが必要です。
さんログアウト
この記事には許可ユーザしかコメントができません。