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なにか日本では技術オリンピックの出場権を取ろうとするような動きが目立ちますが、遅々として具体的な姿が見えてこないのがスマートTVです。アップルTVもグーグルTVも成功しているとはいえないこともあって、ほんとうにスマートTV時代なんか来るのかという疑問もネットですら散見されます。
さて、帰宅して、すでに見たいテレビ番組がはじまっている、あるいはチャンネルを変えると面白そうな番組をやっている・・・最初を見逃してしまった、そんなときにボタンを押せば、まるで録画していたように番組の最初から放送がはじまる。そんな見逃し番組サービスがあれば、テレビを見るのも少しは便利になるのではないでしょうか。

実際、そんなサービスがフランスで始まろうとしています。フランスに本拠地に置き、欧州9カ国で放送インフラ事業を展開しているTDFとフランスの公共放送「フランス・テレビジオン」が見逃し番組を見る「リスタート」サービスを発表しています。
TDFには日本のNECがグローバルベンダーに選ばれ、デジタルTV放送用送信機を納入しているようですがこのサービスとは関係はなさそうです。

もちろんテレビをインターネットにつないでいればの話です。20時から深夜までの番組だけのようですが、たとえ当日限定のサービスであっても、時間の制約を受けずに、最初から最後まで通して番組を楽しめるのは画期的ではなくとも、スマートTVの入り口としては便利さを感じる分かりやすい第一歩のサービスではないでしょうか。このサービスの延長線上にはビデオ・オン・デマンドがあることは容易に想像できますが、TDFはさらにサービスを広げて行く予定だといいます。まずは小さく生んで大きく育てるということでしょう。

地上波デジタルテレビになって、番組表(EPG)がでるくる以外では特にアナログ以上の値打ちを感じないのですが、そういったサービスが始まれば、少しはデジタル化の意味も感じることができそうです。

そういえば英国のインターネットTVサービスのYouViewが英国で7月中にインターネット放送を開始し、それを見るためのセットボックスも発売するそうです。セットボックスが4万円弱するのでどうかと思いますが、二年後には1万円程度になるとか。映画はamazonのサービスが使えるようですが、英国でのTV放送の無料のビデオオンデマンドも含まれているようで、まず旗を上げて、さらにコンテンツをもっているところを集めようとしているようです。
アップルやグーグルが壁を超えられない間隙を縫って、どんどん各国でスマートTVへのチャレンジが始まってきていることを感じます。

スマートTVと言ってもなかなかピンとこないものですが、そこはやはり実際にサービス体験が提供されることが一番です。日本でも、スマートTVといった言葉からではなく、そういった限定的だけど便利そうなサービスから入っていけば、普及にはずみがつくかもしれません。

フランスや英国の真似もどうかというのなら、せめて番組のヨコにTWITTERとかFACEBOOKのタイムラインぐらい流せばもっと面白そうです。クイズ番組なんかだと出演者と勝負ができます。いやそんなことをすれば炎上してしまう番組もでてきそうなので恐ろしくてできないのでしょうか。

なんだか日本はかつてのように最先端を歩む市場ではなくなり、どんどん世界の潮流から遅れ始めてしまっているのが寂しいところです。それも消費者の問題ではなく、テレビ局とか、供給側の都合での遅れだと感じます。

電子書籍もようやく、コンテンツが不十分ながら揃いつつあり、楽天が低価格の電子書籍リーダーを売り出すと発表していましたが、こちらも規格や、著作者や出版社の利益の話が先行し、読者にとっての利便性や、どのように読書生活が変わるかについてはほとんど議論されず、ユーザー不在そのものです。

そういった供給側の都合を優先させる発想や体質が、日本のイノベーションを遅らせ、活力を削いでいるということにそろそろ気づいてもらいたいものです。小沢新党は、「国民の生活が第一」をスローガンに掲げるようですが、日本の「ものづくり」が、「価値づくり」に進化するには、「ユーザーの生活が第一」を起点に、ものごとを考える体質に転換し、技術のターゲットを変えていくことじゃないでしょうか。