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世界一でないといけないのですか?この蓮舫さんの質問への回答が、世界一速いスパコン『京』の構築を後押ししたのかもしれません。

それに溜飲を下げ、やはり日本の技術は優れている、ものづくりは日本が強いと思ってしまうとそれは日本が、たどってきた失敗の罠にはまってしまいかねません。演算速度などの性能はたしかに重要でしょう。しかし、それは、その性能や能力の利用を広げてこそ本当の意味で役立ちます。

今、世界最速を実現したスパコン『京』も弱点があります。世界の他のスパコンと比べ、構築費も、運営費も桁違いに高いことです。

それは利用料金にも跳ね返ってきます。かつて日本が工業化で世界をリードできたのは、製造現場でのロボット装着率が海外に比べ、桁違いに高かったように、ロボットが広く普及し利用されたからでした。


性能を引き出し実現することがまずは第一としても、スパコンの構築費を下げ、また運用コストを下げ、スパコン利用を広く普及させてこそ技術が生きてきます。だから、世界一速い『京』の開発技術をさらに発展させ、スパコンそのものの価格や運用コストを下げることが次の大きな課題となってきます。

その障害となる問題は取り除かなければなりません。またさらなるイノベーションを促すためにも戦略が必要になってきます。半導体や情報家電で、製品が品質や性能をひたすら追求し、いったんは日本が世界をリードしたにも関わらず、利用の拡大に対する戦略が描けず、キャッチアップされ世界市場で敗北していった歴史を踏襲してしまう気配をこのスパコン『京』にも感じてしまいます。

今回の国会での事業仕分けでそういった質問や議論があったのですが、テレビのニュースでは取り上げられていたものの、新聞各紙の取扱いは冷ややかで小さく取り上げるにとどまっています。結構大切な問題だと思うのですが、それぞれの党から委員がでているために政局にならず、興味が持てないのでしょうか。
国会版仕分け、実効性に疑問も…法的拘束力なし : 政治 : YOMIURI ONLINE(読売新聞) :

この事業仕分けに関しては産経の記事がまともかなと感じますが、国会で事実を元にしっかりした議論を行い、それが生かされることを望みたいものです。
スパコン「予算要求を縮減」 国会版事業仕分けスタート - SankeiBiz(サンケイビズ) :

スパコンに関しては自民党の河野太郎さんが、問題を整理してくれていますので、詳しくはそちらを御覧ください。
スパコン京への疑問|河野太郎公式ブログ ごまめの歯ぎしり :
事業仕分け スパコン|河野太郎公式ブログ ごまめの歯ぎしり :

しかし、朝日コムが日刊工業の記事を紹介していましたが、スパコン『京』がスパコン評価の全4部門で総合性能1位になったことを強調し、ニュースにも流れていた文科省官僚の答えに窮した狼狽ぶりや、天下り問題など、理化学研究所の問題にはほとんど触れていないのです。ものづくりを盛り上げるのが日刊工業の取る立ち位置なのでそうなるのでしょう。

『京』が優れていることは結構なこととしても、それと無駄で不透明な経費がつかわれたり、天下りが行なわれていることは別問題です。まるで政治家がそういった『京』評価を無視し、ただただ予算削減に走っているかのような印象をつくりだそうとしているかの誤解を生みかねない記事です。

asahi.com(朝日新聞社):理化学研究所、スパコン「京」全4部門で総合性能1位 - 日刊工業新聞ニュース - デジタル


 
理化学研究所、筑波大学、富士通は16日、理研と富士通が共同で開発中のスーパーコンピューター「京(けい)」がスパコンの総合的な性能を評価する「HPCチャレンジ賞」の4部門すべてで第1位を獲得したと発表した。同賞はスパコンの最大性能を競う「トップ500」のランキングと並ぶ世界的な評価基準で、京は2冠を達成したことになる。しかし、同日開かれた衆院予算行政監視委員会による国会版「事業仕分け」では、京の整備運営費が俎上(そじょう)に。予算要求の縮小や見直しを求める委員が多数を占め、世界的な技術評価と政治の世界との温度差が鮮明となった。

次の下りはそれが色濃く出ています。

米シアトルで開催中のスパコンの国際会議「SC11」で京の名声は一段と高まった格好だが、国内は世界トップの喜びとは裏腹に、秋風が立つような様相。

つまり、せっかく評価を受けた快挙に水をさすな、いくら天下りがあっても、不透明な経費が使われていても、今後のスパコン利用拡大に対する戦略がなくてもいいじゃないか、空気読めよということでしょう。しかし、そういった風潮が広がることを懸念します。

確かに、基礎的な科学や芸術には費用対効果がみえないために、合理性を超えたバサラの精神も必要でしょう。それはそれでF1レースのように競いあってもいいと思います。しかし、そこに官僚の無駄遣いの温床をつくってはいけないのです。

自動車の世界も技術の焦点はF1で勝つことではえられない、情報化や電気自動車に移ってきています。当然、広く産業分野での利用拡大を行うためには、得られる結果や効果との採算性が問われてくることはいうまでもありません。

そして、政府の歳出を抑え、できるだけサービスの質をあげていくためには、無駄な古いしくみは革新されていかなければなりません。国会議員の皆さまは票の奴隷にならずに、ぜひとも日本の古いしくみを変革する高い志をもち、それにむかってチャレンジしつづけていただきたいものです。

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