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2011092902_kindlefire-1先月末に発表され、発売がはじまったアマゾンのタブレット端末Kindle Fireが注目されています。画面サイズは7インチと小ぶりですが、価格の安さが中途半端ではありません。アップルのiPadの廉価モデルが499ドルですが、Kindle Fireは199ドルと半値以下という衝撃の価格です。

Kindle Fire - the Amazon Tablet with Full Color 7" Multi-Touch Display, Wi-Fi:

アップルにとって脅威であるばかりか、それよりもアンドロイド搭載のタブレット端末でスマートフォンと同様に、iPadで先行するアップルに追いつき、追い越すことを狙っていたメーカーにとっては息の根を絶たれるに等しいのではないでしょうか。なぜならタブレット端末を売ることでしか利益を得ることができないメーカーに取っては、もうこの市場では利益が望めないことを宣言されたに等しいからです。

このKindle Fireの原価を米国の調査会社IHS iSuppliが推定した結果が記事になっていましたが、部品原価の合計が191.65ドル。これに製造コストの17.98ドルを加えると製造原価が209.63ドルになるそうです。つまり一台売るごとにアマゾンは10ドル以上の損をすることになります。

「Kindle Fire」は1台売れるごとに10ドル以上の損失、米調査会社 - ニュース:ITpro :

これはビジネスモデルでいう典型的なインストールモデルです。カミソリでスティックを損をしてでも安く売って、ユーザーを獲得すれば、替刃が売れ替刃で利益がでます。インクジェットプリンターは、プリンターを低価格で売って、それで利益がでなくともあとは純正インク、ペーパーなどで利益を得ることができます。それと同じです。

Cnet記事によれば、アマゾンは20th Century Foxとの間で、同社のプログラムをストリーミング動画サービスに取り入れるための契約を締結し、買ったその日から利用ができるだけでなく、1700万曲の音楽、100万冊の書籍、10万本の映画とテレビ番組から好きなものを購入することができるようになります。
アマゾンのタブレット戦略とは--アップルとの比較 - CNET Japan :

またアマゾンはアップルのiCloudと同様に、コンテンツをクラウドで保存し、異なった機種間でも同期させるサービスも展開しており、ここまではアップルも同じだとしても、違いは、アマゾンは膨大な商品を売るインターネットショッピングサイトにKindle Fireから誘導でき、そちらでも利益が生み出されることです。

さらにアマゾンにとっては、ハードを売ることは、顧客を開拓し、囲い込むための手段に過ぎず、そのプラットフォームを他のアンドロイドのタブレット端末を売るメーカーにも提供するようです。

これはまるで鵜飼モデルです。どんどんメーカーが競争しあえば価格が下がり、アンドロイドのタブレット端末が売れます。それらを売ってくれれば売ってくれるほど、アンドロイドのタブレット端末のユーザーが増え、アマゾンのプラットフォームも広がり、利益は自動的にアマゾンが吸収していくことになります。

アップルにとって、脅威はアンドロイドのスマートフォンやタブレット端末がアップルよりも売れることではなく、これまでのアンドロイド勢の利益を稼ぐプラットフォームのライバルが登場することですが、アマゾンはKindle Fireでそれ以上を狙っているといえそうです。

この分野は、もはや「製品」対「製品」の競争、「OS」対「OS」の競争から、「ビジネスモデル」対「ビジネスモデル」に移ってきており、やっとアップルに対抗する本命が登場してきたと感じます。もしアマゾンが、スマートフォンにもサービスを広げてくれば、どうなるのかも気になるところです。

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