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テスコと言っても、テスコを店名に掲げた店舗は関東で34店しか展開しておらず、買収し傘下にある「つるかめランド」と合わせても129店舗しかないので、馴染みがない人が多いと思います。
しかし、テスコは英国に本拠地を置く、小売業世界ランキング第四位の企業で、およそ7兆円の売上規模の小売業の巨人のひとつです。消費市場が英国よりもはるかに大きい日本の小売業を代表するセブン&アイやイオングループよりも大きな企業です。そのテスコが日本部門を売却し撤退します。
テスコは、CRM(顧客管理)、またPBで成功し成長した企業ですが、CRMも、英国のようにクレジット決済が一般で、その決済通知の郵便に、顧客それぞれにあった商品のクーポン券を大量に送るという手法は、現金決済が中心の日本では通じなかったのでしょう。また日本にあったPBを本格的に開発展開して強みを発揮することもできなかったのだと思います。日本での2011年第1四半期には既存店売上高は6.4%も落ち込んでいたようです。アジア圏では、重点を韓国や、中国にシフトしていく方針のようです。
英テスコ:日本部門を売却へ、129店舗運営−十分な規模構築見込めず - Bloomberg.co.jp :
小売り業世界第二位のカルフールも2005年にイオンに譲渡され撤退しています。世界の小売業の巨人で日本市場に残っているのは西友を買収したウォルマートを残すだけとなりました。西友も、EDLP(エブリデー・ロー・プライス)路線でチラシを廃止した時期もありましたが、昨今は投入したコマーシャルが話題になったり、日本の消費文化に適応しようという努力はみられますが、店舗数の限界を抱えています。
小売業の先進国への進出は、決して容易ではありません。IKEAのようによほど他とは異なる独自のビジネスであれば別ですが、それぞれの国には強い小売業がすでにあり競合の壁があることと、また小売業はそれぞれの国で異なった消費文化があるために、その文化が障壁となってくるからです。
近くにカルフールがあったのですが、広大な売り場を店員がローラースケートで回る光景、また同じ商品が天井まで積まれている売り場、和食用の食品の貧弱さなどには違和感がありました。あきらかに日本の消費文化になじまない店舗、商品構成、売場作りを持ち込んでしまった失敗でした。
そういえば、あれほど騒がれた海外のファストファッションもすっかり話題から消えました。H&Mにいたっては、11年上半期決算では稼働売場面積が54%も増えたのに売上は21.5%も減少したようです。
H&M遠からず日本撤退か | プロフェッサー小島健輔の言いたい放題(小島ファッションマーケティング代表) :
たとえ低価格品でも縫製が悪くほつれがあれば買わない、あるいは返品するのがあたりまえの厳しい日本の消費者には、いくら商品を魅力的に見せても品質で劣っていれば通じないということだと思います。
だから、市場が伸び、また人々の生活変化が大きく、先進国の消費文化を受け入れやすい、品質に対する厳しい目もまだ育っていない途上国のほうがやりやすいというのが現実でしょう。日本は、小売市場は飽和状態にあり、競争も激しく、さらに欧米とは異なる消費文化の壁もあるとなると、まだまだ市場が伸びており、のりしろが残されている途上国へ向かうというのは自然な流れです。
いちはやくアジアの途上国にシフトしたカルフールは、中国市場では第4位となっており、5位のウォルマートを凌いでいます。
セブン&アイも、イオンもアジアへの進出に積極的ですが、中国市場でイオンは43位、イトーヨーカドーは64位と出遅れ感が否めません。おそらくビジネスの仕組みの強さで負けているのだと思います。こちらのほうは品質を保つ企業文化はあっても、買い場づくりやマーケティングは決して強いとはいえません。
日本の高い消費文化は、そのものが小売業では海外企業の参入障壁ともなっていますが、おそらく途上国の消費文化がより成熟してくれば、日本の強みになってくるはずです。その鍵を握るのは日本のブランド化だと思います。
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