
現在社会が抱えている課題、将来確実に起こってくる課題は、イノベーションが起こる、あるいは起こせる機会をつくり、またそこに新しいビジネスの可能性を生み出します。
現在で言えば、原発を中心としたエネルギー政策は、もはや国民からも地域社会からも合意を得られない状況となり、なんらかの方法で電力確保を行うか、節電を進めるか、あるいはその両方が必要になってきています。いくら原発の設備が安全だと主張しても、人びとの不安感を解消するすべを誰も持っていません。
しかし、そこには当然イノベーションのチャンスも、新しいビジネス・チャンスも生まれてきます。ソフトバンクの孫社長はそういった変化への嗅覚が鋭く、また行動も迅速で、自然エネルギー財団を設立、さらにメガソーラー事業への参入にむけてさっそく動き始めておられます。
ソフトバンク孫社長 「自然エネルギー財団」設立へ 科学者100人集めて政府に提言 - MSN産経ニュース :
孫社長、メガソーラー10カ所検討 埼玉、関西連合が協力名乗り - MSN産経ニュース :
しかし、自然エネルギー発電で、なにが成功するのかは、今はわからない状態です。通信の世界でも、通信の需要が伸びるなかでも、PHSや電話回線を利用したDSLは衰退・消滅の一途を辿りました。
そこに需要が見込めたとしても、なにが成功するかがわからない、またどのような技術やビジネスが登場してくるかも読めず、あっというまに新しい技術やビジネスに市場を奪われることもありえる、また企業の能力や文化が適しているかどうかもわからない状態で、近未来にむかったチャレンジを行うことには極めて高いリスクがつきものです。
とくにイノベーションはいつ、どこで起こるかの予測は困難で、金沢大学の太田教授とクマケン工業の共同研究チームが、アレバ社製品の20倍の能力がある放射線汚染水処理粉末を開発したことが話題になっていますが、誰がそのことを予測できたでしょうか。
これは大きなビジネスに限りません。スモール・ビジネスのほうがそういったリスクに耐える体力がないのですが、しかしどのような道を選ぼうが、将来はそういった不確実性に満ちていて、リスクから逃れることはできません。
さまざまなベンチャー・ビジネスの足跡を辿ると、実際にチャレンジしないとわからないことが多く、チャレンジした入り口で最初から成功したとは限らない事例の多さに驚きます。
問題は入り口ではなく、チャレンジしていく過程で、いかに失敗を学び、遭遇した課題を克服する能力があるのか、また新たなチャンスを見出しそれをうまく掴む能力やセンス、また運を持っているかどうかのほうがはるかに重要です。
たとえば、アスクルは、今は伸び悩んでいるようですがこれまでに実現してきた成長は驚異的でした。しかし最初から成功したわけではありません。プラス文具の商品を小規模オフィスに売る通販事業としてスタートした最初は小さな規模でしかありませんでした。通販事業というサービスに徹し、プラス文具と競合している企業の商品も扱うことに徹したことから快進撃が始まります。
マイクロソフトも、本来のビジネスではなかったMSDOSをIBMに売るチャンスがなかったら今日はなかったでしょうし、あのマーケティングの天才、スティーブ・ジョブスも幾度も失敗を体験し今日があります。
重要なことは、本気でチャレンジしている当事者でなければわからないこと、発見出来ないことばかりだということです。
チャンスがあり、チャレンジすることに社会的意義を見出し、またチャレンジする価値を見出せば、やってみることです。どのビジネスが成功するのか、またどのようなイノベーションが起こってくるかは、いくら有能なシンクタンクに研究してもらってもわかりません。
しかし、新しいビジネス、あるいはビジネスの変革はリスクを伴うので、そこに本気でチャレンジできず、いくら自らの事業が衰退の道を辿っていることがわかっていても、そこからの脱却ができない産業もあります。
かつて「ゆでガエル現象」ということが盛んに言われたことがありました。しかし今日は再び、「ゆでガエル」になってしまうことの危険性が多くの分野で高まってきています。
ひとつの例で言えば、新聞業界です。発行部数も、広告費も落ちてきているのですが、それを打開するビジネスの変革を起こせません。新聞の電子版化も危機感が薄いために、本気で追求していません。
さて、東芝ははや従来成長戦略の軸としていた原発事業からの転換を打ち出し、また風力事業に参入することが報じられていますが、東芝が自らの事業を「原子力産業」と考えず、「エネルギー産業」と定義しているから、柔軟な転換ができるのでしょう。
asahi.com(朝日新聞社):東芝、原発から環境に軸足 原発事故受け経営方針転換 - 経済を読む - ビジネス・経済:
東芝、風力発電事業に参入 韓国ユニスンを傘下に - IBTimes:世界の最新ビジネスニュース :
ビジネスチャンスがあり、多くの企業が参入すればするほど、さまざまなイノベーションが起こる可能性が広がってきます。そのダイナミズムをさらにどう増幅させるエネルギー政策を転換していくことで、イノベーションを促進し、これまでのように成熟した分野でイノベーション競争を行うよりも、日本を再び技術立国として再建する早道だと感じます。
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