
いかに菅総理が国民からの信頼を得ておらず、またリーダーとしての資質に疑問を感じるとはいえ、それ以上の失態をやっているのが自民党だと感じます。自民党が、福島第一原発への海水注入の55分間の中断を追求し、国会で揚げ足を取ることに無駄な時間を費やしていることには正直なにを血迷ったのかとあきれ果てました。
現場判断で海水が注入は始まったのが、12日午後7時4分。その時点ではすでに燃料棒は溶融していたことが明らかになってきており、また1号機の水素爆発が起こったのは午後3時36分。それを考えると、55分の中断が致命的な問題を引き起こしたとは考えづらく、もしそれが大きな問題であったとするのならば、谷垣総裁はその根據を示さなければ、たんに言いがかりに過ぎず、過去の原発行政への責任をそらすために悪質なパーフォーマンスをやっているにすぎません。
自民党は、救国内閣の要請にも、復興実施本部への参加も拒否し、そこに巻き込まれるリスクを避けたわけですが、リスクを取らない人たちを信用することはできません。リスクを取らずに評論だけやっているから本質的でない問題で騒ぐしかないことになってしまったと感じます。追い詰められているのは自民党のほうかもしれません。
さて、今回の震災で再度検討しなければならないのはTPP問題だと思っています。TPPをめぐっては3.11で状況がまったく変わってしまいました。TPPが農業にあたえる影響は確実です。それを個別所得補償などによって農業への打撃の緩和をはかろうとしていたと思いますが、それも困難になってきています。
TPPは環太平洋戦略的経済連携協定で、参加国は多いとはいえ、参加国合計のGDPの90%以上を日米が占めており、実質的には日米経済連携協定です。現在のオバマ政権は米国の輸出を伸ばし倍増させることで経常収支の赤字の改善と雇用を増やすことを狙っていますが、その戦略のひとつがこのTPPです。
日本がこのままTPPに参加しても、工業製品の日本への輸出が伸びるとは思えず、輸出を増やす標的のひとつが農業であることはいうまでもありません。もちろん簡保や共済などの保険も標的でしょうが、東北地方の復興の足枷になってくるのが農産物の自由化です。
また、震災の影響で日本の経済状況はさらに厳しくなってきますが、体力を失っている状況でTPPに参加して果たして日本に得策かどうかです。
東北地方を考えると、農業就業人口が62万ですが、復興計画で東北地方に農業を捨てさせるのか、その際に農業就業者62万人の雇用、また農家人口168万人の生活をどうするのかという問題が確実に発生してきます。TPPについて再度冷静に考えることが望まれますが、その議論も再考への動きもないことが気になります。
ちなみに、TPPに関しては、マスコミも経済界も総動員で賛成、推進というなかで、それらとは違った視点を展開しているのが、経済産業省の官僚で現在は京都大学に出向し教鞭をとっていらっしゃる中野剛志さんです。TPPに賛成か反対かは別にして、この一冊は目を通しておくことをオススメします。

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さて、話を戻して、非常時の判断がどうであったのかは、今後の危機管理に生かすために後に検証することは必要ですが、いまはその段階ではありません。まして倒閣に利用すべきものではありません。
自民党が提言すべきは、この復旧を促進するためにはどのような知恵があり、さらに復興に関して、TPPも含めてなにを議論すべきで、どのような政策が求められているかです。もう一歩踏み込めば、東電の賠償スキームを自民党ならどう考えるかです。しかし我が身に火の粉が振りかかりそうな問題からは逃げているとしか映りません。
それこそ菅総理が唐突に持ち出したTPP参加にたいして見直しを求めて論戦を張ってみてはどうでしょうか。
我が身を捨ててこそ、国民の信頼は得られます。国民を想い、ライバルを敬い、互いに知恵を競いあうというのでなければ、自民党は政権党復帰を目指すべきではないし、国会議員としての資質も問われてくるに違いありません。
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