テレビのお店紹介の番組で、タレントの人たちが焼肉やステーキを口に入れて、まるで判を押したように「口のなかで溶ける」、だから「おいしい」と表現します。
それはいわゆる脂肪分であるサシが圧倒的に多い霜降り肉だから、溶けるのであって、牛肉そのものの味ではありません。脂肪の食感が好きだということでしょう。
そういうサシがきめ細かく入った霜降りの牛肉があってもいいと思いますが、そうでなくとも、おいしい牛肉はあります。ただ、一般の小売ルートではなく、フランス料理などの高級レストランに流通しているようです。
そういったサシの入った肉が嫌いな人もいますが、そんな人でも良質でサシの少ない肉だと抵抗なく食べることができます。それだけでなく、あっさりしているので食べやすく、しかも霜降り肉よりもカロリーが低く健康的です。
また赤身肉は鉄分を多く含んでいるために、とくに女性にはオススメなようです。
女性の元気は「鉄」にあり
この黒毛和牛ブームに関して、結構気になる記事がありました。人気の高い黒毛和牛の近親交配が過度に進んでしまった結果、産地の特徴や、和牛の多様性が失われてきており、またどの牛も同じ遺伝子を持っているために品種改良が困難になってきているというのです。
しかも、和牛の生産量は増えているものの、繁殖能力の低下や、「環境変化に弱い、病気にかかりやすい、牛自体が小さくなる」といった影響も懸念されているようです。
黒毛和牛が消える日:日経ビジネスオンライン :
この記事には書かれていませんが、効率よく太らせるために抗生物質を多用している可能性もありますが、それは耐性菌を生む結果になるので気になります。
この記事は最後に、目先の競争で均一化してきていることにこう警鐘を鳴らしています。
目先の競争を優先して同じ商品をぶつけるうちに差別化できずに消耗戦に陥ってしまうのは、日本企業にありがちなこと。それが和牛の世界でも繰り広げられようとしている。牛も多様性があったほうが、消費者としては選択幅が広がります。いくら産地をアピールしても、同じ牛なら、やがてそれは差別性が失われます。料理や好みに応じて、特徴のある牛肉が選べる生産に転換したほうが、市場もきっと健全に成長するのではないかと感じます。
多様性は時代の鍵です。そろそろ、テレビ番組の肉の評価も、「やわらかい」「とろける」のワンパターンから卒業したらと思いますね。
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以前は、赤身主流だったと思うのですが、いつの頃からか「まぐろ=トロ」になってきてしまいました。
理由は、「霜降り牛」と同じです。
トロよりも赤身の方が、味があって美味しいと思うのですが・・・。
近大の完全養殖まぐろは、全身トロのまぐろを作ることも可能だそうですが、どうなのでしょうか?
人間の味覚の中で「砂糖・油・だし」の3つは、「美味しい」と強く感じる要素だそうです。
その意味で、霜降り牛やトロが美味しいと感じるのは、自然なことだと、聞いたことがあります。
とすれば、日本人の味覚が単純になりつつあるのかも知れません。