原子力発電所の受注をめぐる国際競争がホットになってきています。それに関連した面白い記事がありました。韓国の中央日報日本語版で、2回に渡る特集記事で、韓国が注力していたトルコでの原発受注が、最終段階で官民一体で攻勢をかけた日本の受注に傾き始めており、その理由は資金調達力の差だというのです。
日本に傾いたトルコ原発…結局は資金力(1) :
日本に傾いたトルコ原発…結局は資金力(1) :
この記事によると、その理由は、トルコが初期の開発費用がだせないために、建設を受注した側が資金を負担し、後に発生する電気料金で回収する方式であるために、低利で資金が調達できなければ、それだけ電気料金を上げざるをえません。そのことにトルコが難色を示しているからだそうです。
日本は大手銀行が豊富な資金力を持っており、しかも低金利。さらに海外プロジェクトへの大型投資の実績がある一方で、韓国にはそういった銀行がなく、利率の高い資金を海外から調達せざるをえないハンディを背負ってしまっているとしています。
しかも、原発での受注側が開発費を負担し、電気料金で回収するファイナンス方法は、トルコがはじめてだそうですが、新興国の場合は、初期の開発費を軽減したいために、今後はその方式が主流になってくる可能性が高いのです。
日本は、原発に関しては、高い技術を持ちながら、箱を売るという単品型の発想でことごとく連敗してきたたために、開発から管理、また資金調達にいたるパッケージ型に転換しようと、首相官邸に「パッケージ型インフラ海外展開関係大臣会合」を置き、省庁間の縦割りを超えたプロジェクト受注のための官民連携をはじめ、ベトナムでの第二期工事を得る成果があがっています。これは民主党政権の功績かもしれません。
傘下の金融機関と連携し、ファイナンスを含めたパッケージ型のビジネス・モデルで成功してきたことで知られているのがGEです。それと近いものを感じます。
この原発受注、あるいは鉄道や水道などのインフラ受注の要が、たんにモノをつくる個別の技術だけでなく、後の運営までのトータルパッケージにあり、日本もようやく戦略転換がはじまってきたということでしょう。
しかし、このことはインフラの国際競争だけの問題ではありません。製品の技術、モノづくりの技術が優れていれば売れるという時代は終わっているのです。
アゴラで「モノづくり神話はそろそろ捨てるべきです」と書きましたが、今日の国際競争は、ブランドの競争であり、またビジネス・モデルの競争に移ってきています。モノをつくる技術はそれを支えるひとつの要素にしか過ぎなくなってきているのが現実です。
日本が工作機械で強いのも、コンピューター数値制御のデファクト(標準)を握っているからだと言われています。つまりモノとソフトで国際市場を制しているということでしょう。
そういった発想の転換を行っていくには、結局は顧客の求めている潜在ニーズがなにかを見極め、そのためのソリューションを、供給者の常識を超え、また業界の垣根を超えて創造していくことだと思います。
モノからの発想ではなく、顧客から発想する、顧客の体験をデザインする時代へ、来年はそんな動きがどんどん生まれてくることを期待してやみません。
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