
日本の小売業も大きく規模が拡大してきました。それにつれ、購買力も大きなものとなり、欧米の小売業と比較すると、まだ立ち遅れているとはいえ、産地からの直接仕入れや、プライベートブランドも拡充されてきました。それだけ小売業の社会的影響力も大きくなってきています。
切込隊長のブログによれば、先日、猪瀬東京都副知事が、こういった小売業による卸売市場を介さない取引量が増えてきたために、築地の卸売市場の価格決定力がどんどん低下していることを憂いた発言があったようです。それをジャーナリストの岩上安身さんが発言の一部を早とちりをして批判を行ったために、ツイッターでひと騒動があったようです。
岩上安身がまた早とちりをして醜態を晒しているようで
その騒動は別として、価格決定権もこういった流通業に移ってきているのが現実であり、そうであればあるほど、社会的責任も増してきたことはいうまでもありません。
しかし、今回のイトーヨーカドーの社員や高山シーフードなどが行ったうなぎ偽装は、現実はそのような社会的責任が重くなってきたのもかかわらず、いかにその自覚が乏しく、また経営や組織運営がずさんだったかを象徴している事件だと感じます。
問題は、一部の中国産うなぎから発がん性物質であるマラカイトグリーンが検出されたことから、中国産うなぎが売れなくなり、ヨーカドーが売れない中国産うなぎを転売し処分したわけですが、本来の輸入業者であるヨーカドーの名前を隠すために、箱の詰替まで行っていたのではないかということです。
さらに転売先で、消費期限の改ざんまで行われていたり、マカライトグリーンが検出されなかったものを転売したはずが少量とはいえ検出されたと報じられています。
イトーヨーカドーの説明では、箱を詰め替えるメリットはなく、組織的に関与していないということですが、それは不自然です。
NHKの報道では、警察への取材で、ヨーカドーの名前を出さないようにすることなどを約束した文書がヨーカドーの本社から見つかっているようです。それが本当なら、嘘に嘘を重ねていることになります。
常識的に考えて、当時は中国産うなぎの安全性が問題になっていたこと、それによって、輸入したうなぎが売れなくなって在庫が捌けなかったという経緯を考えれば、ヨーカドーの売上からすれば小さいとはいえ、会社の経営陣が関心を持たないというのはちょっと考えられません。一担当者が勝手に売りさばき、処分したということならば、会社として、なんら関心も持たず、放置していたことになります。
しかも、コンピューターによる不正経理などなら、会社もわからないということはありえても、78トンものうなぎを処理するとなると、これは完全に正式な業務ルートを通るはずで、一担当者が勝手にやってしまうというのもちょっと理解できません。
組織的に行なったことであれば、当然、経営責任が問われますが、組織的に関与していなければ、いかに、商品の安全性や商品の取り扱いに、経営や組織的が関心を持っていなかったか、また責任感がなかったかということになり、いずれの場合でも、ヨーカドーの体質が問われている事件だと感じます。
体質といえば、気になったのは、今回のうなぎ偽装に関して出されたセブン&アイホールディングスのニュースリリースです。
「中国産冷凍ウナギ蒲焼に関するお知らせ」(PDF)
今回の事件を大変残念かつ遺憾であるとし、会社としての違法性はなかったと信じるが、今後の捜査を見守るとしたうえで、こう書かれています。
弊社グループでは、法令順守をあらゆる事業活動の基本にすえ、公正かつ透明性の高い経営に徹しております。おそらく、社内ではコンプライアンスは徹底していると言いたいのでしょうが、「法的順守」を基本にすえていること自体にも危うさを感じます。
法的順守は社会的責任としては、最低限のことであり、それよりも、社会的倫理、また社会的責任や貢献を積極的に追求しているかどうかが、本来のコンプライアンスのはずです。
なにか法に触れることはしないでおこうという認識や意識であれば、意地悪く解釈すれば、法的に問題となりそうなことには偽装したり、臭いものには蓋をするということにつながりかねません。今回も、輸入業者としての名前を消したのも、売った後のリスクを負うことを嫌ってやったのではないかと考えられます。
公正かつ透明性の高い経営がなされていたなら、問題のうなぎの処理に関しても、実際に輸入元を消すために、包装しなおしたことも、当然組織に伝わっていたはずですから。
社員のとかげの尻尾切りのようなことにしないで、今回の事件を教訓として、社会や顧客に向いた経営の強化、社会的影響力の拡大にともなった、社内の社会責任の意識の深化を行えば、おそらく、もっと顧客の支持を受ける商品の開発や販売、また事業の進化も起こってくるのではないか、もっと社会を味方にした成長戦略も見いだせるのではないかと思えてなりません。
ぜひ、そういった姿勢をはやく打ち出していただきたいののです。でなければ、この事件で生まれた不信感はいつまでもくすぶり続けるのでないでしょうか。鮮やかな解決を期待したいところです。
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会社が儲かれば・大損しなければ、消費者の健康など害してもいいと言っている、みたいな回答ですね。
イトーヨーカ堂も子会社と元従業員の関与としてますが、
本社の名前を消した時点で本社の関与明白ですね、大手の信用無くなりますね。