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田原総一朗さんが、「サンデープロジェクト」を降板するそうですが、日経BPの時事コラムで環境問題への関心の低さを嘆いておられます。景気から環境問題に話題を移したとたんに、視聴率が落ち、4%を切ってしまう、「サンデー・プロジェクト」では前代未聞の記録となったそうです。
心配される日本のCOP15削減目標と無関心

田原さんは、「いかに視聴者が環境問題に関心がないか。それを物語っている」とされていますが、その「サンデープロジェクト」を見ていた側からすると、またも、国民負担がどれだけ大きいかという、もう聞き飽きたという切り口を前提としたものだったので、つまらなく、興味をひかないという印象を受けました。
国民が、環境問題に関心がないわけではなく、番組編成とか、田原総一朗さんのもっていきかたが悪かったのではないかという気がします。数字に焦点をあて、、中味がよくわからないままに、抽象的な話が進むと、正直なところ、もう飽き飽きだと感じてしまいます。

25%削減という数字が、どれだけの意味を持つかについて、普通なら、まずはもっと具体的に産業がどう変わるか、生活がどう変わるか、日本の経済や社会がどうかわるか、あるいは変えないといけないかから話が進めます。目標を達成するためには、どのような技術のイノベーションを必要とし、普及させないといけないか。また物流、交通などの社会システムがどのように変わっていくべきか、環境技術の輸出でどれくらいプラスの効果があるかなどを想定するはずです。
そういった、さまざまな条件の変化で大きく左右されるはずの国民負担を、どのような条件があるのかを想定しないで、どんな条件を想定し計算かもわからない数字で議論するという発想はいまだに理解できません。

昔あった、コンピュータを普及させると、どれだけ職場が奪われるかを計算する発想に近いものを感じます。よく、自治体の建物とかに、「人員削減につながるコンピュータ導入反対!」という垂れ幕がかかっていました。
しかし、実際は、それで産業が効率化され、生活も変わり、インターネットなど、新しい価値を手に入れることができるようになったわけで、そういった支出が増えても誰も文句はいいません。

環境問題に取り組む技術開発や新しいビジネスが生まれてきているのかの例でも取材し、報道すれば、CO2削減にどんな切り口が広がっているのかも知れて面白そうです。それが、CO2削減というと、いつも太陽光パネルの話になってしまい、興味を失ってしまいます。

高いCO2削減目標を実現しようとすると、あきらかに産業構造が変わってきます。たとえば、石油を原材料とする化学品も、付加価値の低いものは、エネルギーコストが上昇しビジネスとして成り立たなくなります。だから付加価値の高い製品分野へのシフトが起こってくるでしょう。きっと照明もみんなLEDに変わるのではないでしょうか。長距離の輸送もトラックではなくなるかもしれません。

新しい技術や発想をもった企業も生まれてきます。知っている範囲でも、古い空調機の冷媒や熱交換機を変え、省エネ、省コストを実現するベンチャー企業が生まれており、すでに実績を積んできてきています。

コマツは、中国向けのハイブリッドの建設機械が好調だそうです。初期投資が高くついても、中国では重機の稼働時間が長いので、高い燃料を使うよりハイブリッドで動かすと、大きくコストダウンできるので人気が高いそうです。これも環境をコスト削減に翻訳して成功している例です。

身近なところでは、昨年車をハイブリッド車に変えたのですが、以前は、ガソリンの1リットル当たりの走行距離が8Km程度でした。それが今や22Km程度です。つまり60%以上のエネルギー消費を削減したことになります。

高いCO2削減目標に反対している産業もあれば、それをチャンスとして見ている産業もあるわけで、産業界が消極的、あるいは反対しているという見方も一面的です。

誰も、暗いご時世に、脅迫的に暗い話をされると聞きたくありません。もちろん負の側面、負担になることもあるのは事実でしょうが、もっとポジティブに問題を考える、国民負担と経済効果の両面から議論し合えば、創造的なアイデアは発想も生まれてくるのではないでしょうか。「危」を「機」としてとらえるしたたかさがないと、国際競争にも勝てません。

心配すべきは、国民の「無関心」ではなく、なにの説明もしないで、つまりどこに計算の根拠があるのかもわからないままに、国民負担という数字だけが一人歩きしていることのほうじゃないでしょうか。

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