日々是マーケティングさんが、毎日新聞のWEBサイトの「ずーっと愛して:ロングセラー物語」を取り上げ、そこで紹介されたバンドエイドや、三ツ矢サイダーやカルピスなどのなかに、懐かしさとともにあるのは家族の風景を感じると書いていらっしゃいます。確かに、ロングセラー商品は生活に定着し、またブランドというよりは普通名称化しているものも多いですね。
ロングセラー商品に「見る家族の風景」
ずーっと愛して:ロングセラー物語 バンドエイド(ジョンソン・エンド・ジョンソン)
そのバンドエイドで、すぐさま思い出したのは、絆創膏をバンドエイドではなく、サビオという人がいることでした。サビオと聞いたとき、一瞬戸惑い、そういえばサビオって以前あったことを思い出したのですが、その人の出身地の人はみなさん、それがたとえバンドエイドであってもサビオというらしいのです。完全に一般名称化しているということです。現在は発売中止となったサビオをやっていたのはライオンでしたが、おそらくその出身地では、サビオがまっさきに売られ、またトップシェアだったのでしょう。
さて、サビオでなくとも、ロングセラー商品は、その商品カテゴリーの一般名称として使われることが多いですね。そのカテゴリーのシンボル、あるいは一般名称としてブランドが浸透することはブランディング、とくにブランド・ポジショニング戦略の目指すところですが、それが定着すると、いつのまにかブランドと意識されなくなり、ブランドとしての効力を失うということもあります。
たとえば、写メールは、Jフォンの商標でしたが、いまやキャリアは関係なく、写真を添付して送る携帯メールは、写メールというのではないでしょうか。写メール、写メの差別性やブランドとしての優位性は失ってしまっています。またかつては、どこの複写機であれ、コピーをとることを、ゼロックスすると言っていたものですが、技術革新と競争が激しくなり、シェアが相対化してくると、コピーするとか、プリントするという言葉にもどってしまいました。
面白い例では、今や懐かしいラジカセですが、もともとはシャープのブランドでしたが、雑誌などで一般名称のようにあちらこちらで書かれてしまい、商標として成立しなくなってしまったという例もありますね。
パナソニックの「ウォッシュレット」とか、富士フイルムであろうがなかろうが、使い切りカメラは「写ルンです」とかになってきます。包装材の「プチプチ」などは商標なのですが、まずそれが商標だと思っている人はあまりいらしゃらないと思いますね。
ところで、日々是マーケティングさんは、ジャムのテレビCMでベストセラーよりロングセラーというのがあったと書いていらっしゃいますが、おそらくロングセラーとなることは、開発者もマーケッターも夢見ていることでしょう。
しかしなかなかロングセラーになるというのは簡単ではありません。市場のなかでは熾烈な競争があります。また競争よりも怖い脅威があります。競争関係だけなら、いったんトップブランドとなり、ブランドが浸透したものはほとんどその座を奪われていません。それより、その商品カテゴリーがなんらかの技術革新が起こり代替品にとって変わられるとか、生活の変化があって、そのカテゴリーそのもののライフサイクルが終わり陳腐化して市場から消え去る、トレンドに乗った商品はトレンドが終わるとその商品の存在理由を失うというほうが怖いのです。商品の改善や新アイテムの投入、ユーザーとのコミュニケーションを工夫して絆を深めるなど、育てるマーケティングがなければロングセラー商品として生き残るのは難しいのです。
カルピスは、かつては大家族を前提としたサイズの商品で、少家族化の流れ、あるいは家族揃ってというよりも、それぞれが好きなときに飲むというライフスタイルの変化でどんどん市場が縮小して経営の屋台骨まで揺さぶることになりましたが、新しいライフサイクルに合わせた商品化を行って、見事に復活したブランド例でしょう。
またロングセラー商品も、最初はヒット商品として話題となり、普及していきます。時代変化に対応して、たとえ小さな市場のカテゴリーであっても、競争に打ち勝って高いシェアを維持できたものがロングセラーとして、いぶし銀のような存在となってくるのだと思います。
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まあでも、書き方の問題ではないでしょうか。ブログだから仕方ないのかも知れませんが。
カルピスに関しては、小家族化ですね、失礼しました。転換期との符号は理解できます。
「写るンです」はたしかに初期は、追随する他社の商品もそんなイメージだったかも知れません(フジの圧倒的なシェアですし)。ただ、誕生したのが約20年前で、初期のブームが落ち着くと「写るンです」より「使い捨てカメラ」の方が世間的には浸透したのではないでしょうか(今も含め)。
少なくとも「ウォークマン」や「プリクラ」「ポラロイド」などと比べると一社の商品名の印象が、私は強いです。
別に内容に関して揚げ足を取るつもりもありません。興味深く読ませていただきました。ただ、誰もが共有している大切な記憶の部分であり、マーケティングのプロの方の視点だけに、どうしても細部が気になってしまうのも事実です。失礼しました。