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景観か、利便性かで争いになっていた鞆の浦の公共工事に、待ったをかける判決が広島地裁で言い渡さされました。
地元の方々にとっては残念な判決かもしれませんが、鞆の浦の公共工事は、原因と対策のボタンの掛け違いをしているのではないかという気がしてなりません。
道が狭く渋滞する、トラックや大型バスが通れない、また下水などの施設も不十分であり、不便だから若い人たちが地元から離れてしまい、過疎化や高齢化が進んできたということですが、本当にそうでしょうか。

宮崎駿さんが朝日新聞のインタビューのなかで、「(開発推進派が)子どもが(鞆に)帰ってこないといいますけど、帰ってきませんよ,僕のところだって。同じだと思うんですよね 」とおっしゃっているけれど、その通りじゃないでしょうか。我が家でも子供達はみんな東京勤務で、きっとよほどのことでない限り、大阪には生活の場を移すことはないでしょう。
鞆の浦への思い 宮崎駿さん会見詳報

便利になれば、痛んできた地方が再生できるというのは、幻想に過ぎません。高速道路や整備新幹線を望みをかける地方の声も同じことです。そんな公共工事を進めてきて、財政の赤字がどんどん膨らみ、地方経済は良くなるどころかさらに悪化していきました。

大阪に千里ニュータウンというのがあるのをご存じでしょうか。いかに便利でも、過疎化や高齢化が起こるということを象徴しているような地域です。
大阪の中心から10Kmぐらいにあり、空港にも近い、新幹線の玄関口である新大阪にも近く、道路も整備され、名神や中国自動車道のインターチェンジも近く、おそらく日本で一番アクセスのいい地域です。

しかし、今、その千里ニュータウンで問題になっているのが、過疎化と高齢化です。かつての高度成長のシンボルともいえる旧住宅公団の住人の人たちが高齢化し、その子供たちも千里から離れ、古い住宅には新しい住民も来ず、独居老人がどんどん増えてきたのです。もちろん鞆の浦のケースとは原因は違うとしても、ハードでいかに便利であっても過疎化や高齢化は進むのです。むしろソフトの問題でしょう。

地方で、高齢化や過疎化が進むのは、不便だからではなく、若い人たちにとって稼げる仕事がないこと、暮らしを支える産業がないことです。だから若い世代が流出していくのです。

なぜ、地方から産業が消えていったのでしょうか。またなぜ地方から産業が生まれてこないのでしょうか。生まれてもなぜ出て行ってしまうのでしょうか。問題はそこにあるはずです。

日本は社会主義国以上の社会主義国といわれるほど、官僚が支配し、画一的な中央集権ですすんできました。こんな複雑性が増してきた現代でそんなことが通用するほうがおかしいのです。社会主義国が消滅に至ったのと同じ原因で、今は日本が衰退しはじめているともいえるのではないでしょうか。
地方は、官僚統制と交付金で縛られ、独自性をもてず、活力を失い、それがさらに東京への一極集中を押し進めるという悪循環を日本は辿ってきたわけです。かつて、地方経済特区をつくろうという機運があった時期もありましたが、蓋をあけてみると、アリバイづくりの政策ばかりがならんでしました。
地方活性化のみならず、日本の成長戦略にとっては、地方主権化が、極めて重要な日本の明日への大きな鍵を握っているはずです。

TwitterのハンドルネームIINAlabさんに宛てた自民党の田村耕太郎参議院議員さんのTwitterでの言葉が本質を突いているのではないでしょうか。

日本の人口規模なら日本を30のシンガポールに分けて各々国からの財政支援なしでその代わり完全な一国二制度で創意工夫を競ってもらったらシンガに負けない有意義な政策一杯出てきそうです。背水の陣で政策立案・実行しているところにシンガのすごさがありますね。
田村議員のTwitter
きっと、そこまで遡って、手を打っていかなければ地方再生も、日本の成長戦略も夢のまた夢じゃないでしょうか。
日本の財産としても景観を守るのか、利便性をとるのかという選択から、さらに一歩進んだ議論が進むことを期待したいものです。

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