
真夏日になると、やはりビールということになります。それでビール売り場に行くと、以前に比べると新製品が増え、b売り場も広くなってきたように感じます。ビール、さらに低価格の発泡酒、新ジャンルとカテゴリーを増やしながら、各社が競い合っているので、ずいぶん品種、品番が増えました。
よくブログなどでも、新製品を飲んだ感想を見かけますが、しかし実際に売り場に行くと、どれがどう違うのかよくわかりません。たまに試しに買って飲んでみても、ビールはほんのすこししか飲まないせいか、普通のビール、あるいはプレミアムビールが美味しいと感じてしまいます。
そういった新製品開発努力で、市場は伸びてきたのでしょうか。気になって、キリンビールのホームページを見ると、大手五社の課税数量の推移がありました。
キリンビール酒類市場データより引用
このグラフを見ると、一見して、全体としては衰退傾向だということはがわかります。さまざまな開発努力、マーケティング努力を行ってきたにもかかわらず、市場は収縮したという現実を物語っています。
低価格な発泡酒や新ジャンルを投入することで、市場の収縮度合いがこの程度で済んだともいえるかも知れませんが、タラレバは意味ないので、いずれにしても開発やマーケティングの努力をしたけれど、市場の収縮には歯止めがかかっていないということだけは否定できない事実でしょう。
市場が収縮しているなかで、品種や品番が増えると、小売り段階での効率は悪化します。単品当たりの回転率も落ちてきます。しかも価格競争も激しくなり、販売価格は下落します。挙げ句のはては、顧客にとってもなにがなんだかわbからないということになるのですが、各社とも競争に生き残ることを考えるために、あるいはシェアを少しでも伸ばそうと努力するので、新製品競争を止めることができません。あまり、健全なサイクルとはいえません。
消費支出が長期的に落ちてきているので、こういった悪いサイクルにはまってしまったカテゴリーはビール業界に限らず多いと思います。そういった発想を支えているのは、新製品を生み出していけば市場が成長するという楽観主義、あるいは、新製品競争についてこれなくなった企業が淘汰され、やがては勝ち残った企業が、残存者利益をとれるという考え方かもしれませんが、そろそろもっと違う発想に向かわないと、業界がどんどんやせ細っていくことにつながっていくようにも感じます。しかし当事者にはこのサイクルをおそらく止めることができません。
マーケティングの世界で「品種から品番へ」という言葉が生まれたのは、高度成長期が終わった1970年代でした。それ以降に、マーケットを細分化し、ポジショニングによって新製品を投入する機会を探るということがマーケティングの常識として定着してきたように思いますが、もうそろそろそういった手法も効かなくなってきたのではないかということです。
むしろお酒を飲まなくなった若い人が増えたこと、高齢化によって、お酒をよく飲む世代の飲酒量が減ってきている、さらに飲酒運転規制の強化というなかで、どういったことが求められてきたのかという原点から発想しないと出口なしではないかと思ってしまいます。

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子供のころ「うんこ味のカレーと、カレー味のうんこ、どちらなら食べられる?」という問いかけに苦悩しました。結局、どちらも「うんこ」なんですね。
というわけで、例えアルコール度0.0%でも、ビール味の炭酸飲料は「ビール」として飲むことが出来ます。プラシーボ効果で酔うことも可能でしょう。