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百貨店が消費不振の直撃を受けて、売上高が落ち、通年でコンビニにも抜かれることが確実になってきたようです。11月までで、粗利の高い衣料品が前年の9.1%減、美術・宝飾・貴金属が15.9%減ということですから、相当経営も厳しくなってきているのでしょうね。
コンビニ、百貨店抜く 08年の売上高、消費構造が変化

しかし、景気の悪化が百貨店の不振に追い打ちをかけたとはいえ、百貨店の売り上げ高はは、平成3年以降、平成9年を除くと減少を続けており、コンビニとの売上げ高の推移を比較すると、コンビニに抜かれてもおかしくないという状況でした。業態として、もうピークアウトしてしまったということでしょう。

売上げ推移


コンビニは、これまでも、店舗数の増加や、ATMを始めとした金融サービス、宅急便窓口、写真現像など、近くにあるという便利さを生かしたサービスも取り込みながら成長してきました。
しかし売上げ推移を見ると、こちらのほうも、ちょっとピークに向かいつつあるという感がいなめません。今年はタスポ効果で売り上げのかさ上げがありましたが、次の成長戦略をどこにおくかに焦点が移ってきているようです。

さて百貨店ですが、地方の百貨店は、郊外型の大型ショッピングセンターに客を奪われ、店舗数も減少してきたわけですが、景気の悪化で、10大都市圏の百貨店もいよいよ売上げ不振となってきています。売上げが改装を延期するという動きまででてきています。
大手百貨店:各社、苦境 投資計画見直し次々 売り上げ伸びない、店舗改装できない…

しかも、こんな足もとが悪い時期に、大阪では、百貨店戦争が始まります。阪急の百貨店や大丸、高島屋などが大型の改装と増床が進んであり、さらに2011年春には、「JR大阪三越伊勢丹」がオープンします。きっと需要低迷のなかで、お客さまを取り合う仁義なき闘いみたいなことになります。

それぞれが百貨店の常識を覆す、あっと驚くようなサービスや品揃え、売り場づくりでもやって差別化しないと、互いにつぶしあうという結果にもなりかねません。商品そのものに独自性をつけようにも、フジサンケイBusinessiの記事にあるように、「ユニクロのような製販一体モデルは一朝一夕には構築できない」でしょうしね。
百貨店、小売り王者の座転落 新しさ“核”に迫られる再構築

そういえば百貨店にしかないとかいうものがなくなってきているように感じます。衣料品でも、昨今は、高級ブランドにしても衣料品ブランドにしても、百貨店以外でショップ展開をしていますし、化粧品でもドラッグストアに行けばいくらでも買えます。扱い商品、つまりコンテンツそのものの鮮度とかユニークさを失ってきたということでしょう。
そろそろ百貨店という業態に見きりをつけたほうが、生き残りのアイデアもでてくるのではないでしょうか。あるいはひとりひとりのお客さまにむけたきめ細かな顧客管理システムを構築して、よりきめ細かいサービスや提案をするということになるのでしょうか。
ただ感じるのは、百貨店でカードを作成しても、メルマガぐらい送ってきても良さそうなのですが、購入金額が少ないからか、あまり積極的なアプローチがありません。ちょっとそのあたりから改善してみるのも一手かも知れませんね。
いずれにしても百貨店が、かつてはブランドとして輝き、ステータスの象徴だったのかもしれませんが、もはやそういう時代でもありません。贈答品でも百貨店の包装紙よりは個性のある専門店のから直接お贈りしたほうが、心がこもっているようで価値を感じます。
百貨店が、小売業のなかでどのような独自のポジションをとることができるのか、どのような価値を提供することが差別化となるのかを再構築する時期に来ていることだけは間違いないようです。
でなければ、店舗数も売上げ高も減少していくとともに、仕入れの際の力関係も交渉力も落ち、じわじわと収益力も落ちていくという悪循環も避けられそうにありません。


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