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8月に貿易収支が26年ぶりに赤字となりました。世界の経済が減速し、輸出が横ばいとなったこと、それ以上に原油価格の高騰、原材料価格の高騰が原因です。
さて、よくマスコミなどで、円高を懸念する記事を見受けます。円高になると輸出価格が上がり、結果として輸出が停滞し、日本の経済を悪化させるということですが、本当でしょうか。
マーケティングの視点で見れば、競争力というのは、価格だけで決まるわけではなく、技術、製品、ブランドなどの総合的な競争力で決まります。価格だけですべてが決まるわけではありません。もちろん価格が上がることは競争力に影響するとしても、それが決定的になり輸出が減るのでしょうか。
価格競争で決まるマーケットは、すでに中国をはじめとしたBRICSの製品とはもはや競争力がなく、日本の製品が入り込む余地はすでになくなっています。

抽象的な話ではなく、過去の実績として実際にどうだったのでしょうか。為替の変化と輸出額の推移を見てみました。1995年の輸出金額と為替レートの変化をグラフにしてみました。長期的に見ると、プラザ合意で急激な円高誘導が進んだ時期を除けば、円高が進むと輸出が減るとはかならずしもいえないことがわかります。
為替レートと輸出金額の推移

プラザ合意によって、1984年末に1ドルが248円だったのが、1985年末には1ドル203円、1986年末には162円まで急速な円高が進んでいったという貿易額が大きく落ちたのですが、あまりにも激しい円高に誘導されたこととでさすがに大きく輸出が落ちました。しかも当時は、「安いにもかかわらず日本製品は品質が良い」ということで日本製品が世界を制覇する勢いにあった時代ですから、価格があがると競争力も落ちるという背景がありました。
また円高が急速に進むのは、1993年から1995年ですが、一時的には輸出額が落ちましたが、もとも円高が進み、1ドルが90円を割るという超円高時代を迎えた1995年には、むしろ輸出額は回復基調となり貿易額が増えます。日本企業が円高えの対応力と価格以外での技術力などで競争力をつけたということでしょう。

こういった問題は、それほど難しい問題ではありません。現在輸出を牽引している自動車が、はたして価格で競争しているのかというとそれは違います。消費者は、初期の自動車の価格だけではなく、ブランドや性能、また品質も考え、さらに自動車購入後の燃費や修理に要する維持コストも考慮して、車を選んでいます。価格ですべてが決まるのなら、北米市場でプリウスが売れに売れ供給が追いつかない状況は説明できません。
機械、素材、部品などで、日本は世界市場を席巻している分野が数多くなります。日本製品しかないに等しく、円高だから価格があがって日本製品を避けるということはできません。
対中国貿易や対韓国貿易は特にそうです。確かにサムスンは欧米でどんどんシェアを伸ばしてきましたが、サムスンは主要部品た素材を日本から調達しているというのが現実です。
さらに長い間ユーロ高が続きましたが、ではヨーロッパが輸出不振になったのかというとそうではありません。むしろユーロ高のなかで日本よりは経済成長を達成してきました。
実効為替レート


為替の問題よりは世界の経済が悪化して需要が落ちる、市場が縮小する影響のほうが大きいというのが本当のところでしょう。資源を海外に依存する日本にとって円高は、それだけ安く資源が買えるわけですから決して悪いことではありません。
また交易条件の悪化で、日本は損をしているという状況が続いています。対ドルだけ見ていると、日本の円安ではないという風に見えてしまいますが、日本は長い間デフレの時代を過ごしており、各国の物価上昇率も加味した実効為替レートで見ると、日本はプラザ合意のあった1985当時に近い円安時代だということです。
ヨーロッパに海外旅行を行くとこのことが実感できます。ヨーロッパに行ってコーラを買おうとしたら400円もして、円の弱さを痛感するという思いをした人は決して少なくないはずです。円高は決して悪いことばかりではありません。もうすこしきめ細かい議論が必要だと思いますね。

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