昨日久しぶりにマザーランドファームの岸本社長とお会いし、雑談をしていましたが、日本はもちろん世界の食料事情が激変しているそうです。
岸本社長のブログでも書かれていましたが、バターが店頭から消えていることが報道されています。朝食なら、マーガリンで代用できるでしょうが、ケーキづくりやパンの製造にバターは欠かせません。ケーキ屋さんとかパン屋さんがバターの確保に奔走しているそうです。
政府も小麦価格の大幅な値上げに踏み切らざるをえない状況となり、さらにパッケージ資材なども原材料の値上がりでつぎつぎと食品の値上げが発表され、台所を襲っています。バターから品切れという事態を起こしていますが、品切れする可能性のあるのは、なにもバターだけの話ではないようです。

値上げの次は品切れ
日本の肉牛農家が激減


バターの場合は、昨年までの牛乳の過剰生産で減産に踏み切ったことが裏目にでたということもありますが、そもそも飼料が高騰してしまい採算がとれない状態になってきており生産をやめる酪農家がでてきているということ、さらに海外も事情は同じで海外からの調達も難しいということが重なりました。
しかし乳牛だけの問題ではないというのです。
牛にしても豚にしても、鶏にしても飼料が高騰したものの、価格に転嫁できず、廃業する酪農家が増加してきており、しかもこれが日本だけでなく、海外でも似たような状況になってきているそうです。
とくにオーストラリアは、昨年西部地区のパース近郊を除いて、大干ばつに見舞われ、酪農が壊滅的な打撃を受けたそうです。しかもオーストラリアは資源が豊富なために、バブルではないかというほど景気がよく、いったん酪農から離れた人々が酪農に戻ってこないそうです。
マザーランドファームのオーストラリアの牧場の写真は、岸本社長と同行して、昨年撮ったものですが、関係者の人たちから青々とした牧場の光景が信じられないと異口同音に言われると岸本社長がおっしゃっていました。
マザーランドファームHP

良質な牛肉は、それを確保しようとしのぎを削る競争が起こり始めているそうですが、これも牛肉だけに限りません。海外からの調達も難しく、国内の酪農でどんどん廃業が増えてくると、日本の食卓の良質なタンパク源をどうするかという戦略的な食料政策が必要になってきます。漁業も石油の高騰で打撃をうけています。しかしその割には動きは鈍いように感じます。

吉野家が昨日まで「新生活応援キャンペーン」と銘打って並丼を300円で販売していましたが、吉野家が仕入れているアメリカも、飼料高騰からどんどん牧場が閉鎖されてきているそうです。やがて牛丼一杯500円、1000円という時代もそう遠くないかもしれません。

持続可能な発展というテーマには、一方では、地球温暖化という環境問題があり、もう一方では食料が不足してくると言う問題があります。抗生物質などの薬品の過剰な使用で生産性をあげると、今度は健康問題やあらたな耐性菌の発生が興ってきます。さらに日本の場合は、GHQの農地解放が農業の小規模化となり、その後も農家の保護政策ばかりで、生産性を上げていく手を打ってこなかったつけが回ってきそうです。タンパク源だけでなく、主食についても、小麦やトウモロコシなどの世界規模での争奪戦もあり、お米の減反政策についても見直しが迫られてきそうです。
これまで飽食の時代と言われ、廃棄される食料が25%という日本の姿は見直しが迫られてきそうです。もういちど「もったいない」「いただきます」「ごちそうさま」と自然の恵みと生産者に感謝する心が必要になってきているように思えてなりません。

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