サブプライム問題から発した世界同時株安、しかも日本が震源地よりも株安となってしまった状況に対しての政府の対応について、記者が町村官房長官にインタビューした際に、「私のような金融、株の素人がいくら発信を万が一してみても市場は無視するだろう」という弱気な発言がありました。また、福田首相は「さあ、どうでしょう。今の経済を見ていて緊急と言うことはない」という返答でした。
驚きます。もし町村さんや福田さんが企業の経営者であれば、経営責任の放棄だとして、社員からも株主からも批判を受け、進退が問われることになったのではないでしょうか。
日本の経営者も、かつての高度成長期であったころ、またバブル期の頃ならば、おみこしに乗って模様眺めをしながら、もっぱら社内調整をしていても許されたのですが、株主や市場からの圧力もあり、今日はそうはいきません。リーダーシップや問題解決能力がかつてなく問われてきています。
折しも、ダボス会議で、「いまは一世代に一度の危機」だという発言があり、さらに各国の有力企業トップらに行った「世界経済を覆う最大の脅威はなにか」というアンケートで、回答が多かったのが政府や中央銀行の「協調的対応と指導力の欠如」と「現在の危機対応の失敗」であったそうですが、まるで日本の政府に対する評価ではないかと感じてしまいます。危機対応の失敗どころか、町村官房長官や福田首相の発言からは、危機意識すら感じられません。
欧米よりもサブプライム問題の影響が少ないはずの日本がもっとも酷い状況になったという現実をご両人、また与党の皆さまはどう考えていらっしゃるのでしょうか。国会運営と選挙で頭がいっぱいでそれどころではないということでしょうか。
もちろん拙速的な解決策はよけいに信頼を失いかねないでしょうが、規制緩和やすすめるべき構造改革を緩めないという強いメッセージを市場に投げかけ、政治への信頼を取り戻すことはできるはずです。
それどころか、こんな状況で、道路建設を進めようというのですから、お話になりません。折しも、道路特定財源で、国土交通省が宿舎をつくったりしていたことが発覚していましたが、まるで社会保険庁と同じだということであり、もっと精査すればさまざまな不正や無駄遣いがでてくることは容易に想像がつきます。膿は今のうちにだせと思います。
焦点は、さまざまな負の遺産をどう処理するのか、日本が時代の変化に対応して、より生産性が高い社会、人びとが豊かさを実感できる社会に向けてどういう道を歩んでいくのかというビジョンを明らかにすることであり、そこに向かって政治が決断力と行動力を示していくことだと思うのですが、模様眺めのご両人では日本売りが加速して当然だと感じます。地方との格差問題でも、中途半端に終わっている経済特区制度の推進をなぜ再度掲げないのか不思議です。
もはや思想による対立がなくなった政治に、多くの国民が期待しているのは、そういった構想力や決断力、行動力ではないかと思えてなりません。

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