黒船

アメリカで低価格の薄型テレビで、あっというまにトップに躍り出たVIZIOについては以前にも触れました。そのVIZIOの創業者ウィリアム・ワング最高経営責任者が朝日新聞の取材を受け、「早ければ09年にも日本や中国、欧州など世界市場への進出を目指す」という考えを明らかにしたそうです。
今年度中は、「パネルの供給不足のため、守りの一年になる」ということらしいですが、さあ日本でVIIZIOは成功するでしょうか。あるいは朝日新聞の記事にあるように競争が激化して低価格化に拍車をかけるのでしょうか。
>>薄型テレビのビジオ社、日本進出も 低価格で米市場席巻
http://www.asahi.com/business/update/0110/OSK200801100113.html

(参考)VIZIOに関する過去エントリー

液晶テレビVIZIOはアジア型産業にとっての脅威になるか
日本の薄型テレビは生き残れるのだろうか

期待したいところですが、案外難しいという気がします。デルのようにPCの場合は、高度なグラフィック処理が必要なゲームを楽しむとか、AV機器として利用するというケースを除くと、デスクトップで利用するには、店頭で売られている機種と基本的な機能差がほとんどありません。

だからデルで十分というか、一般の量販店で売っている余計なソフトをバンドルしたPCよりは使いやすいのですが、テレビとなるとちょっと違います。

アメリカは低価格ゾーンのマーケットが相当大きな市場規模がありますが、日本は、どちらかというと品質志向、ブランド志向の強い国ですから、シャープや松下、おっと失礼、パナソニックが安くなれば売れるでしょうが、低価格ブランドがそれほど魅力になるとは考えにくいのではないでしょうか。それこそ、キャズムの溝があって、日本ではなかなかその溝を超えることが困難だろうと思えます。

ただ、日本のメーカーが、いつまでもハードだけにこだわっていると、VIZIOの品質も、シャープやパナソニックに追いついてくるでしょうから、品質面での優位性が保てるのは時間の問題かもしれません。
さらに、中国をはじめとしたアジア市場などでは、このVIZIOが席巻し、日本の薄型テレビ成長の将来市場を刈り取ってしまう可能性は極めて大きいのではないでしょうか。そちらのほうが打撃が大きいかもしれません。

低価格で勝負するなら、ビジネスモデルを転換しないといけないでしょうが、そちらは現在のブランド企業の自己否定になってしまうので、期待したいのは、そういったVIZIOがアメリカだけでなく、世界市場へ、また日本への攻勢をかけるという動きで、差別化を求める日本の薄型テレビの進化に拍車がかかってくることです。

やっとネットサービスを利用するインターネット対応のテレビが、SONY、シャープ、パナソニックで揃ってきますが、日本の薄型テレビ陣営にとってのビジネスチャンスは、皮肉なことに、日本のテレビ番組が内容が劣化し、まったく面白味を失ってきており、それとは違うコンテンツをいかに取り込んでいくかにあると感じます。
ネットを利用することで、画質だけでなく、薄型レビの新しい価値を創造していくということの弾みになれば、面白いことになりそうです。

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