薬害肝炎問題は国家の責任であり、今後薬害が発生させないためにも、国家責任を明確にすることと、被害者の一律救済を原告側が求め、司法判断を尊重する政府側との和解がこじれていますが、一律救済を立法化で対処することと福田総理が原告団との面会を行うことで、ようやく解決の糸口が見つかろうとしています。
焦点は「薬害解決を遅らせた責任」という結果責任か、「薬害被害を発生させた責任」という原因責任とするのかという決着の着地点に移ってきていますが、このあたりからは話が難しくなり、被害患者の人たちをなんとかしてあげたいという気持ちだけでは済まない問題になってきたように感じます。

マスコミ報道がほとんど原告側に焦点があてられ、感情に訴える報道を展開しているので、すべて政府が悪いという印象を受け、なにが本当に問題なのかがよくわからず、厚生労働省が平成14年8月29日付けで公表した「フィブリノゲン製剤によるC型肝炎ウイルス感染に関する調査報告書」を読んでみました。
要約も難しいほど詳しく経緯が書かれています。もちろん旧厚生省や旧ミドリ十字はHIV感染の問題もあったので、きな臭さを感じますが、そう簡単じゃないということぐらいはわかります。
>>フィブリノゲン製剤によるC型肝炎ウイルス感染に関する調査報告書

こういう書き方をすると反感を買うかもしれませんが、理性で判断するのか、感情で判断するのか、いずれを取るのかという選択が迫られているということかもしれません。しかも、これまでの福田総理の発言が、なにか責任を回避するような印象を与えてしまい、支持率の急落にも繋がったことも事実であり、いまさら理を説き、国民を納得させるだけの結論をもってこれるのかどうかも疑問です。人の意見をよく聞かれる調整型の福田総理の限界かもしれません。結局は情の判断で決着がつくことになるのでしょうか。

どちらが正しい選択かということよりも、危惧するのは、あまりの完全な結論を求めると、ただでさえ遅い新薬の承認がさらに遅れることになったり、医療現場への過度な責任追求の流れとなってしまわないかということです。そうでならないことを祈りますが、耐震偽装問題で人々の怒りを静めるために、準備がおろそかなまま、拙速的に建築基準法を厳格化したために、建築業界は未曾有の着工件数減となり、中小の工務店は経営が厳しい状況に追い込まれてしまいました。なんで真面目にやっている人たちまで影響を受けないといけないのかがよく分かりませんが、それと同じような事態が起こることを危惧します。
【改正建築基準法】住宅着工大幅減を巡る“冬柴発言”に建築実務者が怒りの声

言えていることは、どのような結論になったとしても、官僚はなんの罪も問われないでしょうし、また懐の痛みもないでしょうが、補償は税金で支払われるということです。しかも官僚の給与が減額されるどころか、これだけ不祥事が続く中でもさらにボーナスが増えたという事実です。
焦点は、そういった官僚への不信感や怒りがあるなかで、与党や福田内閣が、国民の多くが納得できる結論を示せるかどうかでしょうね。

バナー←いつもクリックありがとうございます