私たちは、食の分野で美味しく、安全で、安心して食べることことのできる食品を選ぶ権利を持っています。それを保証するのが、ひとつは産地や内容成分、また消費、賞味期限などの法的な表示であり、もうひとつが中味の確かさを保証するブランドです。

さて、そういった食の分野で、中国産のそうめんを偽装して売っていた大阪の業者が逮捕されました。
また偽装かとうんざりしますが、この業者は以前にも賞味期限をマジックインクで書き直して販売して逮捕されており懲りない人たちです。罰則が甘すぎるのではないでしょうか。
中国産の機械麺のそうめんを、奈良県の桜井市で登記した『三輪山本舗株式会社』が包装したからということで製造販売会社として表示し、産地を隠して売っていただけでなく、どう見ても、三輪そうめんの老舗の会社である『三輪そうめん山本』という誤解を与える包装をやっていたという偽装事件です。
前者は中国産うなぎを包装しなおして産地を偽装するのと同じ手法ですが、産地を偽装したのはJAS法違反だと思うので、業者が逮捕されたのが不正競争防止法ということは、後者の『三輪そうめん山本』と紛らわしい商品名をつけたことが問われたということでしょうか。

いずれにしても意図的な偽装であり、悪質だといわざるをえないのですが、食品の分野は小売りの段階も含め、偽装が蔓延しているといわれています。農水省が販売されている米のDNA鑑定をはじめたこともそういった米の偽装があいかわらず行われているという疑いがあるからでしょう。

JAS法の罰則をかなり厳しくし監視を強化することと、生産者側からするとブランディングをしっかり行って、販売ルートの管理を強化し、防衛するしかないということになってきます。

小売りが、知恵や提案力の必要な非価格競争でなく、安易で無理な価格競争に走っている限り、偽装を招く土壌がどんどん拡大していくわけで、今もある食品のブランディングに取り組み始めていますが、今後ますます重要になってくるものと思われます。
ミートホープ事件など、卸も小売りもプロなら、それがまともな材料で製造できる価格でなかったことは百も承知の確信犯であったはずで、ミートホープだけ問われたというのはおかしな話でした。

食は、添加物、抗生物質やホルモンの使用、遺伝子組み換え食品、さらにBSEなどさまざまな安全面で疑問のつく問題が多く、食糧自給率という「量」の問題を語る前に、そういった「質」の問題こそ議論しないといけないのじゃないかって気がします。汚染まみれの食品で自給率を上げてもしかたないじゃないかということです。

さてそうめんと言えば、以前、
『三輪素麺』でなくなった『島原素麺』の価格
というエントリーを書き、いかにブランドが重要かを書いたことがあります。もともと島原のそうめんは三輪の下請けでつくり、三輪のブランドで売っていたものを、産地表示の義務化で契約を切られ、みずからの産地ブランド売るようになったのですが、それまでは9キロ3000円で収めて、5000円で売れていたものが、『島原』ブランドでは2000円でしか売れなくなったというのです。

さらに、三輪はそうめんとしては名の通った産地ブランドであり、先ほどの『三輪そうめん山本』はそのなかでもとくに有名ブランドですが、どうも『揖保の糸』ブランドに押されてきたように感じます。
もともとは三輪のほうがブランド価値が高かったのですが、兵庫県手延素麺共同組合が一致団結して『揖保の糸』に一本化し、ブランド化をはかってきたのが成功したのではないでしょうか。今回の事件を機に、『三輪そうめん』もブランド再構築をはかった方がいいかもしれませんね。

追記:「手延べそうめん」と「機械めん」の違いは、手延べは文字通り、粉を捏ね、さらにどんどん伸ばしいって細く仕上げた製法でコシがあります。三輪素麺や揖保の糸はそちらです。機械めんは、トコロテンのように、穴から押し出して、細い麺をつくるので工場生産できますが、コシがありません。細いうどんみたいなものです。食べ比べれば、見た目の艶も、歯触りも、のどごしも、味覚も含めてまったく違うことがわかります。

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