友人が経営しているレストランは、昼はバイキング形式のランチをやっているのですが、有機野菜の料理がよく出るという話をしていました。農家と直接契約して仕入れ、最近また新しい農家と契約したそうです。ちょっと距離があるのでディナーしか行けないのですが、確かに野菜料理はどれもシンプルな調理に徹していて、野菜本来のおいしさを楽しめます。安全でおいしいから人気がでるのも当然でしょう。
さて、中国で日本の米が約4年ぶりに販売が再開されましたが、価格は高いので毎日食べるのは無理だとしても、おいしく、さらに日本の米は安全で安心できると評判だそうです。中国国内でも、中国の農産物や食品への不信感が高まり、食の安全への意識が高まってきているようです。

さてその『食』の問題ですが、これから大変な時代に入っていくようです。マクドナルドの値上げ店舗の増加が6割以上の店舗に広がると発表されていましたが、じわじわと食品が高騰してくるということです。価格の高騰だけでなく、そうなればなるほど、おそらく少々安全性に疑いがあっても、コストを優先した食材もでまわってきそうで、食の安全をどう守るかも大きな問題となってきそうです。

そういう点では、ヨーロッパではフランスがもう30年ほど前からでしょうか、自国の農産物を保護するために、農産品の情報化とブランド化をはかってきた蓄積があることもあり、品質表示の仕組みが徹底されてきています。日本はカタチばかりの制度があるだけでかなり遅れていてヨーロッパと比較すると見劣りがするのが実態です。

さて、なぜ食品が急に高騰しはじめたかですが、もちろんガソリン高騰で輸送費用がアップしてきているということもありますが、最大の問題は穀物問題です。世界の穀物の需給の構造が変わってしまいました。
飼料として大量に使われていたトウモロコシが、エタノール燃料にむけられ、さらに今度バイオエネルギーでの需要が広がってくるという観測でどんどんトウモロコシの相場が上がってきているのです。
この前、サンデープロジェクトで財部さんが、ブラジルのエネルギー政策をずいぶん持ち上げていましたが手放しでそういえるのかは疑問です。
飼料が高騰すると、当然家畜を育てるコストも上がってきます。さらにヨーロッパでは菜種や大豆を原料にした油をディーゼルにつかう動きがでてきており、菜種や大豆も高騰し始めているということです。
きっとコスト上昇を抑えるために、いまだに安全性がよくわからない遺伝子組み換えの飼料の比率がどんどん上昇してくることは容易に想像できます。それは海外のことで日本は関係ないだろうと思っている人も多いようですが、日本も輸入飼料に頼っているので無関係でおれません。
地球温暖化問題、エネルギー問題、食糧問題が絡んで、これまでとは違う世界の情勢が生まれてきているということでしょう。
そういったバイオ燃料の問題だけでなく、さらに中国、インド、アフリカなどの人口増も影響してきます。
魚も、マグロに代表されるように漁獲制限が強化されてきており、さらに鯨が調査捕鯨という名目でしか捕獲できず、水産資源で補うどころか、そちらのほうも価格が上昇する要因ばかりです。
つまりは日本にも『食』に関するビジョンやしっかりした政策が必要になってきたということですが、政治家と官僚に任せているだけではある日フタを開けてみると年金問題のように大変なことになっていたということになってしまいかねません。
農業問題は社保庁と同じように、あるいはそれ以上に酷い問題が潜んでいるかもしれないですね。緑資源機構の談合問題で発覚したのは、日本の官僚が天下り先の仕事を作るために、税金を投入して、スーパー林道という誰も使わない、しかもなんの役にも立たない道路をつくり続けているという恐ろしい構図です。そんな利権の網が張りめぐらされている魑魅魍魎の世界に誰が鈴をつけるのでしょうか。


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