グッドウィルグループに対しては怒りの集中砲火ということになってきました。各地方自治体の知事から、コムスンと同じグッドウィル・グループ子会社である日本シルバーサービスへのコムスンの事業譲渡に対する反対声明も相次ぎ、また厚生労働省も「凍結」の方針です。
グッドウイルグループをなんら擁護するつもりはありませんが、落ちた犬に石を投げるということになってはいないかという懸念と、厚生労働省にほんとうに事業を持続させる見通しがあるのかという疑問がふっと湧いてきます。

不正申請、不正登録などで不正、さらにヘルパーへの劣悪な待遇で不当な利潤を追求してきたということですが、果たしてそれほどコムスンは利益をだして、儲けていたのでしょうか。
グッドウイルグループの2007年6月期中間決算説明会資料を見てみました。同社は人材派遣最大手のクリスタルグループ買収など、積極的なM&A戦略で順調に業績を伸ばしていることがわかります。
>>2007年6月期中間期決算説明会資料PDF・140KB)

しかしコムスンについては、2006年4月の介護保険制度改正、介護報酬改定によるダメージを受けてか、急激に業績が悪化しています。売上高こそ06年の309億円から350億円に伸びる見通しとはいえ、営業利益は13億2千9百万円から、7億9千7百万円の赤字が見込まれています。在宅介護の顧客単価が一人当たり8000円、前年の17.7%下がったことが響いたようで、在宅介護に関しては21億8千万の赤字となります。したがって経営方針として、在宅看護から利益を生める施設介護に事業を大きくシフトしようとしていたようです。
つまりは、最大手のコムスンですら、しかも不正請求、不正申請などを行ってもなお利益がでない制度になってしまっているのではないかという疑問がでてきます。そうなると本当に、コムスンの事業を継承して引き受ける事業体が登場してくるのかということです。そのことを懸念する中日新聞の記事がでていました。
>>コムスンの受け皿難航も 介護ビジネス収益性悪化で

コムスンの事業買収に前向きな姿勢を示している事業者もあるけれど、企業体力などの制約から一部の地域やサービス、優良施設に限定して「ばら売り」を求める可能性もあるということだそうです。問題は、施設介護だけを吸収するなら利益はでるので吸収したい企業もあるでしょうが、在宅看護がどうなるかはおぼつかないということでしょう。
不二家問題があったにもかかわらず、まだ懲りないみのもんたが、激情して福祉の会社が利益を追求していいのかなんてやっていましたが、利益がでなければ事業の継続はできません。経常利益が2兆円を超えたトヨタでも説得して社会貢献事業としてやってもらえということでしょうか。それでは株主が納得しないでしょう。
コムスンの体質は問題として、そういった不正が生じてきた背景の一因に、介護政策の歪や無理があったのではないかという視点もそろそろでてきてもいいのではないかと思えてなりません。なんだか、日本は年金も介護も含め老後が安心できない国になってしましましたね。

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