明治安田生命保険の保険金不払いが発覚してから2年経ちました。金融庁が保険会社に求めた調査で、38社で25万件290億円の不払いが報告され、山本金融相が「国民の目から見て、対応が後手にまわっている感想が否めない」と苦言を呈しているように問題の根の深さが想像できます。
おそらく、マニュアルレベルだけでなく、基本的な経営や業務の考え方、あるいはシステムそのものが、加入者が気がつかなければ払わないということになっており、そこから抜け出せないからだと思えます。
今回問題となっているのは、たとえば保険加入者が癌などで亡くなられた場合、当然診断書が病院から出て、ご家族が死亡保険を保険会社に請求するわけですが、その他に入院費や手術費などを保証した保険との抱き合わせ商品に加入していた場合に不払いが起こっていることが多いといいます。
診断書と加入している保険を見れば、保険会社のほうは、死亡保険意以外に支払わなければならないものがなにかはわかるはずですが、家族にはそれを知らせず、家族からの請求がなかったから支払わないということで。それが一社や二社だけでなく、業界の常識となっていたということです。
せこいというしかありません。というよりも、保険会社がなにを売っているかといったら、『安心』『信頼』という商品であるはずで、それと実際のビジネスが違っていたら話しにならないでしょうということに尽きますね。
当たり前の話ですが、保険は支払いがコストだと一瞬でも考えたとたんに破綻するのです。
讀賣新聞記事で、住友生命保険の横山社長が「不払い問題は、配当や保険料の競争より、契約者へのサービス改善が重要という問題を経営陣に気付かせてくれた」と指摘したといいますが、外部から見れば、そんなのは当たり前であって、ちょっとお寒い話ですね。
>>保険不払い 底なし(讀賣新聞)

だから、保険会社の不払い問題がさらにフォローの風となり、県民共済やCO-OP共済などが伸びてきたわけですが、とくに県民共済は加入者第一主義を掲げ、いかにスムースに支払うかを業務の柱としているために、日経ビジネスを行っている「アフターサービス満足度ランキング 安心できる会社はここ」でも県民共済グループが二年連続で生命保険部門で1位にランクされるという結果になっています。
やることはやっているから伸びているということでしょう。
保険って、いくら新製品で競争すると言っても限界があるわけで、長期的な差別化はブランド戦略が中心であるはず。しかも、いくら広告宣伝をやっても、実際にどうだったかという口コミのほうがはるかに影響力があるはず、そのためには顧客の満足度が効いてくるというのは誰にでもわかる話です。
生協もモノを売るというところでは、次第に独自性や競争力を失ってきた感がありますが、保険の分野では当分競争力が維持できそうですね。ブランドさえ確立してしまえば、生協法が改正され、他の保険会社と同じ条件となったとしてもやっていけるわけですが、さあどうでしょう。
しかし共済といっても、いろいろあって違いがわかりづらいですね。同じ共済でも、JA共済連は自動車保険での16億円超未払い問題を起こしています。「共済」といえば必ずしも安心とはいえなくなり、事業主体をしっかり見ないといけなくなったということですかね。


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