どれくらい働くことに時間を費やしているかというのは、その人がどのような業種で、どのような職種で働いていらっしゃるかで随分違ってくると思います。コメントをいただいた「黒い子羊」さんのように「自分は、3,168時間くらい働いてます」というかたもいらっしゃるでしょうし、ほぼ定時で仕事を終え、有給もたっぷりとっている優雅な人もいらっしゃいます。働く時間も二極化しているのではないでしょうか。
同じ会社でも、できる人に仕事が集中するということもあります。それがサービス残業になって収入に反映していないことも多く、さすがに大企業の場合は下手なことをすると労働基準監督局の指導が入って、残業時間の短縮、場合によってはサービス残業分の支払い勧告がくることもあるのでしょうが、そうでない場合には「黒い子羊」さんのようなことになってしまいます。組合への加入率がどんどん下がり、労働組合のパワーが落ちてしまったことも影響しているように思えます。
また「SSS」さんのように「ごく狭い友人知人を見渡す限りですが、こんな短い労働時間の人は見たことがありません」とおっしゃるのもよくわかります。普段見えてくるのは、きっと近い業種とか、職種の人たち、また近い年齢の方になるということもあるのではないでしょうか。404 Blog Not Foudの子飼弾さんが引用を交えて書いていらっしゃるように、エンジニア系の若い人たちはとくに厳しい状況だというのはまわりを見ても感じます。
>>「日本人労働者」そのものが幻か 
さて、統計をすべて鵜呑みにするということはどうかと思いますが、仕事だけでなく、余暇なども含めてどのような生活時間を使っているかを調べた社会生活基本調査があり全体を俯瞰するのは役立つのではないでしょうか。
直近のデータとしては平成13年の結果をネットからエクセルでゲットできますが、調査サンプル数が総数で11万人強、主に仕事をしているという人でも5万人強があり、まあ参考にはできるものと思います。
それで見ると行動者平均、つまり実際に働いたという人が平日に費やす仕事時間は、8.06時間ですが、これにはパートの人なども入っているので、正規の職員・従業員の行動者平均では9.10時間ですから、こちらのほうが実感に近いかもしれません。しかしこれもあくまで平均値なので、実際の労働時間の分布のほうが気になるところですが、残念ながら見当たりませんでした。
都市規模による差、職種による差もみられます。やはり技術系の人は働く時間が長いという傾向がでていました。年齢別に見ると現役バリバリの30歳代はもっとも長く働いていることが結果にあらわれています。さらに気になるのは、10年間の変化で、全体では仕事関連に費やす時間は減少しているにもかかわらず、20歳代後半と30歳代の有業の夫の仕事関連時間は増加しているということです。
きっとリストラを行い、さらに若い人たちの正規雇用を絞った結果、その年齢層の男性の負担が増えてしまったということでしょうか。平成18年の結果がどうでるのでしょうか。さらに増えているような気がします。
そういった状況が決して好ましいことではないと思いますが、むしろ時間の問題よりは、もっと付加価値が生まれる仕事のあり方とか、職場環境や企業文化とか、また人材育成を考えるべき時期を迎えてきているのではないでしょうか。
実際の経済活動はどんどん情報化、サービス化が進んできているのに、まだまだ日本の多くの企業には製造業モデルの意識や体質が残っており、それが生産性の足を引っ張っているように感じるのですがいかがですか。

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