R30マーケティング社会時評さんのところで、「動態視力」というタイトルのエントリーがありました。ちょっと難解でしたが「動態視力」というキーワードは現代のマーケティングを考えるうえでいいキーワードだと思いました。
つまり、競争環境も、またインターネットがもたらしたコミュニケーション環境も激しく変化しているなかでは、お客さま自体もダイナミックに変化していきますが、そういった変化を前提としたものの見方やマーケティング、またそれを支える組織の柔軟性ガ大切になってくるということです。変化を睨んで、反応できるというのは、動いていく世界を見きわめる「動態視力」と、変化に合わせて動くことができる「運動神経」が必要ということですから。
さて、日本は世界でもトップの消費のレベルが高い市場です。それだけに商品やサービスを選択する眼も高く、また多様化してきています。またライバル同士の実力も接近しており、まるでオセロゲームもようにシェアも変動します。それだけにお客さま惹きつける商品のサービスの開発やマーケティングが必要になってくるのですが、そうなるとターゲットとなるお客さまをかなり絞っていかないと、意図がぼやけてしまい、中途半端な主張のないものになってしいかねません。
お客さまを絞って、できるだけ想定したターゲットの人たちに「この指止まれ」というマーケティングを展開するのですが、現実には、想定した人たちだけが購入するとは限りません。愛用者はがきなどで、購入した人たちのプロフィールを調べると、かららずしも意図したお客さまに買われているとは限りません。
しかも、時間が経過し、商品やサービスが市場で定着するにつれ、購入する人たちも広がったり、変化してきます。
だからあまり、この商品やサービスのターゲットはこのセグメントだと固定的に考えすぎると、変化を見過ごしてしまう危険性がでてきます。またセグメンテーションも行き過ぎると、こんなお客さまたちにはこれ、別のお客さまたちにはあれと足し算ばかりしていると、なにか関連性がない商品やサービスに分散してしまい、ブランド全体として何を特徴としたいのかもぼけてしまったり、お客さまに魅力的な選択肢を提供して、選ぶ楽しさを実現しようということにも繋がってきません。
「戦略的曖昧さ」ということが経営学のなかでいわれることがあります。あまり詳細なところまで規定しないで、わざと曖昧にしておくということです。まあ曖昧だと、人によって解釈が違ってしまうということもありますが、逆に多くの意味を生み出して、奥の深いマーケティングになってくるということもあるように思います。このあたりのさじ加減がマネジメントのなかでは重要なのでしょう。
時代は変化します。ある時期はセグメンテーションによって商品やサービスの多様化を促進し、またある時期にはその統合が課題になってきます。
マーケティングのなかで、セグメンテーションは重要ですが、その落とし穴にはまらないように気をつけたいものです。

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